パムッカレの親子丼の巻
カッパドキアのギョレメ滞在3日目の夕暮れに僕らはバスで12時間かけ、世界遺産のパムッカレに移動した。僕らが主に夜行バスで移動するには理由があった。昼間を移動時間に使ってしまうより、夜寝ている間に移動して昼間に観光する方が日数的にも効率がいいし、宿代を節約することにもなるので経済的でもあったからだ。
早朝、6:50デニズリーに到着。そこからパムッカレはセルビスで約30分の道のりであった。
パムッカレに到着したと思うと、すぐ目の前にあったゲストハウスのフロントに案内された。まわりにもたくさん宿があるにもかかわらず、半強制的にそこの宿に泊まるように進められた。恐らくセルビスの会社が宿と提携しているのだろう。
昨日から何も食べていなかったオラは、まずはその宿で食事をとろうと思った。メニューの中に親子丼があることに気付き、久しぶりの日本食にオラは嬉しくなってもちろん親子丼を頼んだ。
しかし、出てきたのは全く違う物であった。
「すいませ~ん! 親子丼頼んだんですけど、違うメニューが来たので親子丼に変えてもらえますか!?」オラは主人が勘違いして料理を運んできたのだと思い、大声で呼び寄せた。
ところが宿の主人はこれが親子丼だと胸を張って言ってきた。しかしオラにはどう見ても、野菜炒めにしか見えなかった。宿のオヤジはこれがうちの親子丼だといいはるので、オラは仕方なしに我慢することにしたが、一口食べた瞬間、嘔吐しかけた。
「まじいー!!」
野菜炒めだと思えば食べられるかと思ったが、とんでもないまずさである。
一瞬罰ゲームかと思うぐらいだったので、思わずオラは激怒して宿の主人に文句を言いに行こうとしたが、仲間に「ここは海外だから日本人の口に合わないものもあることだし……」と言われ、なだめられた。
すこし怒りも落ち着いたもののやはり納得できなかったのは、宿の前には、どうどうと日本語で“親子丼あります!!”と看板に書いていたからだ。「オラみたいに日本語しか読めない日本人なら絶対、親子丼頼んじゃうやん」
やはりこれは詐欺じゃないのか……。
これからも多くの日本人犠牲者が増えていくのかと思うと悲しく思った……。
朝ご飯を食べた後、みかりん達は別の遺跡の観光コースをまわってそのあと、パムッカレの石灰棚を見に行くらしい……。
オラ・ようちゃん・マッキーは、そのままパムッカレの石灰棚を見に行った。
石灰棚は宿から目と鼻の先にあったので、そのまま石灰棚を上がって行けば棚の頂上まで行けた。
石灰棚には、温泉が流れていてうろこ状に連なっている棚の水面は、青白く輝いていた。
この光景をオラはどこかで見た景色だなぁと思った。
中国で見た黄龍である。
黄龍は、中国の山奥にあったが、ここは、街のすぐそばに突如として現れたような石灰棚だったので、また不思議な感覚であった。
夕方、全員揃って話し合った結果、みんなが行きたかった場所は今日一日で楽しめたので、宿には泊まらずそのまま夜行バスでイスタンブールまで行ってしまうことにした。
僕らにとってのパムッカレは日帰りで十分楽しめる、そんな観光スポットであった。