仲間との再会の巻
この時期イエローナイフでは、日の出が10時頃、日の入りは15時頃なのであっという間に夜になってしまう。
さぁ、今晩から待ちに待ったオーロラ観賞である。
日も暮れて、宿の外にでると、すでに薄っすらとしたオーロラが空一面に広がっていた。
しかしオーロラがブレイクする時は、こんなもんじゃ無いらしい……。
僕らは、期待に胸を膨らませていた。
夜21時になり、オーロラツアーのバスが僕らの宿に迎えに来てくれた。オーロラのブレイクは、夜遅くの方が起こりやすいそうだ。
ちなみにオーロラを観賞する場所は、街から少し離れた湖だという。
理由は、近くに街灯などの明かりが全く無い、視界が360度開けた湖の真ん中が、観賞するにはもっとも適しているからである。
僕らは湖の上に建ててあるロッジの中で、オーロラが現れるまで待機した。
しかしバスが湖畔にたどり着いた時に、パラパラと雪が降り出していた。
バスの黄色いライトに照らされたボタン雪は、とても幻想的で綺麗だったが、オーロラ観賞にとっては、雪雲の存在は絶望的であった。
他の観光客のおじさんも今日はオーロラが見られないだろうと落胆していた。
湖上のロッジ内で、暖かい紅茶を飲みながら、スタッフのお姉さんが作ってくれたマフィンを食べてくつろいでいた。
ロッジの外に出てみると、温度計の針がマイナス33度を指していた。
さっきまで降り続いていた雪はいつの間にか止んでいた。
暗黒の空を見上げると、雲が晴れ、キラキラと輝く星達も顔を覗かせていた。
オラは外に出て「ジャンベを叩きに行こう♪」とようちゃんを誘った。
雨乞いではなく、オーロラ乞いである。
ようちゃんはジャンベ、オラはエジプトのタブラを叩いてオーロラを待つ事に……。
ドラムの音は湖全体に響き渡った。
なんともいえない心地よさだ……。
しばらくすると、遠くの方からオーロラの帯がこちらに向かってくるのが見えてきた。
ロッジで待機していた人達も、みんな外に飛び出してきた。
オーロラのカーテンが大きく揺れ、時には小刻みに震える。ピンクや紫の光が高速で走り抜け、オーロラの光は形を変えながらどんどん大きくなっていった。
僕らの頭上を通過する頃には、反物を巻き込んだ様な光の渦が空いっぱいに広がり、一瞬で辺りが明るくなった。
その瞬間ワァーとみんなの大歓声が上がった。
オーロラがこんなに凄いものだとは……。
この旅が、とうとう終着点に辿り着いたという達成感と感動が、一気に込み上げてきた。
オラは、全身に鳥肌が立った。ようちゃん・マッキー・ダイタの3人も感動のあまり興奮していた。
「なぁ、今、真上で輝いているオーロラは、神様が私らの旅のゴールを祝福しているんじゃないの!?」
「ほんまやなぁ、なんか僕らのために与えられた特別な瞬間に感じるなぁ!!」
「きっとここにいる人達のオーロラへの感動は、みんなそれぞれ違うんやろなぁ……」
「でも僕ら4人は、間違いなく同じ感動を味わうことができているよ。感動を共感しあうって凄いよなぁ!!」
僕らは、半年間の旅の思いを馳せながら、頭上を通過していくオーロラを目で追い続けた。
オーロラのブレイクが終わると他の観光客達はロッジに戻っていった。
今まで歓喜に満ちていた雰囲気が、静まり返っていった。
僕らはロッジには戻らず、しばらく遠くに見える淡いオーロラや満点の星を静かに眺めていた。
旅の終わりを実感し、何か寂しい気持ちになってきた。
この旅での経験が走馬灯のようによみがえってきた。
そして行く旅の先々で別れたみんなのことを考えた。
菊ちゃん、あけちゃん、ぷる君、みかりん、ムーム、けいちゃん、みえちゃん……。
みんなそれぞれ自分の足で、この地球のどこかを今も歩いているのだろうなぁ。
そしてすでに日本に帰っている、オッキー、あこちゃん、めぐみちゃん、ゆうちゃん、こだまちんも日本でそれぞれ仕事を頑張っているのかなぁ~?
みんな一緒に旅してくれて本当にありがとう。
そしてようちゃん、マッキー、ダイタ。
最後まで付き合ってくれてありがとう。
カンボジアのバイタクのサリーや各国々で偶然出会った現地の人達、そして旅先で出会った旅人のみんな。
そしてお星様になってしまったカリンちゃん……。
楽しい思い出をありがとう。
旅先で出会ったみんなのおかげで、オラ自身も随分成長できたと、感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。
2・三脚:長時間の露光のため、ブレがないようにしっかりとした三脚が必要。
3・レリーズ:カメラブレがないよう、シャッターボタンに取り付けて使用する。レリーズ取り付けが不可能な場合は、タイマーを使用する。
4・フィルム:オーロラは肉眼では強い光のように見えるが、実際の光の量は少ない。したがって、ISO400、ISO1600、ISO3200などの高感度フィルムがおすすめ。忠実な色を出すにはポジ(スライド)フィルムが好ましい。
*デジタルカメラで撮影する場合:
口径で明るいレンズを備え、長時間露出でもデジタルカメラ特有のノイズを軽減する機能を備えているものが好ましい。ISO400で15秒以上露出できるタイプのカメラ。※フラッシュは使用しないこと。デジタルカメラのほとんどが、暗い場所では自動的にフラッシュを発光するが、オーロラ撮影時は強制的にストロボをOFFにする。
人間を一緒に入れる場合は、懐中電灯の光などを利用して、まんべんなく人に当ててやるとよい。
※バッテリーの消費が早いので、予備を用意すること。