85.みんなで世界一周計画 ギリシャ編 移動中の災難の巻

移動中の災難の巻

アテネ滞在2日目……。

今回ギリシャの予定滞在日数は、1泊2日だけであった。

本当ならもう少し堪能したいところだが、みんなと相談した結果、次の国イタリアのお祭り期間に間に合うように移動しようと決めたからである。

ギリシャからイタリアまでは船での移動だ。

フェリーの出発時間が、17時半なので、午前中にアクアポリスとゼウス神殿を観光し、午後アテネを出発することに決めた。

シンタグマ駅から地下鉄2号線で4つ目のラリッサ駅に降り立ち、そこから港のあるパトラ駅には国鉄列車で17時に到着予定であった。

途中まで順調に移動できていたのだが、なんと僕らの乗った国鉄列車になにやら異変が起こった。

いきなり隣の車両から男の怒鳴り声が聞こえてきた。

何を言っているのか解らないが、車両がざわつき始め、次の駅に着いた瞬間、車掌がやってきて乗客全員にここで降りろと支持をしてきた。

車掌や駅員達が列車の中を調べ始め、プラットホームには緊迫した空気が流れていた。

隣の車両で大声を出して怒鳴り散らしていた男はどこに行ったか分らない……。

オラは、船の出発時間に間に合わなくなると駅員に訴えるが、彼らは慌てふためいた様子で、僕らの相手をする余裕はなく。

軽くあしらわれるだけであった。

列車を調べている車掌や駅にいる駅員達の表情には緊張感が漂っていた。

オラはこの後何かが起るんじゃないかと変な予感がよぎった。

しばらくすると別の列車がやって来て、駅員達は乗客を一人ずつ確認しながらその列車に乗せていった。

そして僕らの列車は出発した。僕らは何とか無事だったが、いったい何があったのかが気になった。

「爆弾事件やったら僕らやばかったかもしれんよなぁ~!?」

みんなは、さっきの緊張感から解放され、ふっと胸をなで下ろしているようすであった。

フェリーの出発時間ギリギリに僕らは港近くのパトラ駅に着いた。

しかしチケット売り場までは1キロくらい離れていていた。

僕らは、バックパックを担いだまま線路沿を走った。

何とかチケット売り場に到着するが、受付のおねえちゃんに「もう時間が無いわよ、走りなさい!!」と言われた。

しかし、チケット売り場からフェリー乗り場までは更に1キロ以上離れていた。

え~、また走るのかよ~。

仕方が無い、とりあえず誰でもいいから先にたどり着いて船の出港を止めなければ!!

オラは、重い荷物を苦痛に感じながらも全速力で走り続けた。

先頭を走っていたオラの横っ腹に激痛が走った。

きっと重いバックパックを担ぎながら、走っているせいだ……。

でももしここで走るのをやめて船が行ってしまったらきっと後悔する。

それだけは絶対嫌だったので、死に物狂いで走った。

そしてとうとう船の前にたどり着いた。船のゲートが閉まるギリギリ寸前で何とか船を止める事に成功した。

みんなも次々にゲートを上がってきた。

フェリーに乗り込んだ後しばらくは、荒い息が止まらない状態であった。

ゲートを上げようとしている船員さんや、僕らが、「早く!! 早く!!」と手招きしている中、最後尾にいたみかりんがバックパックを両手で抱いたまま船に上ってきた。

なんと、バックパックの肩ひもが、片方ブツリと切れていたのである。

みかりんの表情を覗き込むと、なんと号泣していた。

「ひどい……。みんな、こんな走りにくい状態の私を置いて先に行くなんて……」

いやいや、みんな船を止めることに必死になって走っていただけやし、誰もみかりん一人を置いて出発しようなんて思ってないって……。

まぁそんなみかりんだが、船に乗り込んだ後にはケロっとした表情に変わっていた。

そしてみんなの息が落ち着いた後、フェリーの客室に足を運んだ。

イタリアまでは1泊2日の船旅である。

船の中にはラウンジやゲームセンター、映画のシアター室もありかなり快適そうだった。

そして船の売店で食事を済ませたオラは、ふと甲板に出てみた。辺りは真っ暗でフェリーのライトだけが遠くの海を照らしている。

誰もいない甲板のベンチにオラは、腰を降ろして海を眺めた。

イオニア海を渡る風は強くてとても冷たかった。

この海を渡ればイタリアの大地が待っているのだ。

そんなまだ見ぬイタリアの世界のことをぼんやりと考えながら冷たい潮風にさらされるのはそう嫌ではなかった。

電熱コイルの取り扱いに注意
電熱コイルはバックパッカー旅行ではとても重宝する。
コンセントがあれば直ぐにお湯が沸かせられるので、カップラーメンやコーヒー・紅茶だってすぐに作れるのだ。
イタリア行きのフェリーの中での出来事。
シアター室から女性メンバーの大きな声が聞こえて来た。
慌てて走って行くと、何と、オラのガイドブックが燃えているではないか!!
どうやら、みかりんが、電熱コイルでお茶を沸かしていたようだ。
コンセントを抜かずにガイドブックの上にポンと置いたので本が燃えだしたのだ。
危うく、船上火災になるところだった。
 
みかりんが起こしてしまった船上の小火騒ぎ事件、電熱コイルはコンセントの差しっぱなしに注意しよう

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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ABOUTこの記事をかいた人

2016年11月~2017年4月までの約半年間、仲間を募って中南米一周してきました。 夏のシーズンは、アウトドアクラブNuts(ラフティングカンパニー)の代表を務めています。オフシーズンはアウトドア系社会人サークルのイベント(ボードツアーなど)行っています。また、ラフティングトレーニングやアウトドアの遊びの研究をするため、海外に出かけたりしています。 旅やアウトドアに興味がある方はぜひお友達になりましょう♪