鉱物資源に恵まれ、金やダイヤモンドの世界的産地だ。
エイズの蔓延、教育水準の低い非白人の貧困、治安の悪化など懸念材料が多い国。
タウンシップ(アパルトヘイト時代に差別を受けた黒人たちが押し込まれた居住区)は今もなおこの地域に残されている。
1ランド=現在のレート
1ランド=約17円 (2006年12月6日~15日)
殺人事件発生率世界NO1である。
奴らは、頭を使わず、力任せの犯行に及ぶのでやっかいである。
後ろから首を絞めたり、いきなり、タックルをしてきて金品を奪ったりするらしい……。
ヨハネスブルグのダウンタウンや、空港付近は特に危険で、空港のバス停付近に近寄る旅行者はみんな被害にあっているという。
バックパックを背負った白人女性が、100メートル歩く間に2回強盗にあったという話も聞いた。
そんな恐ろしい場所に僕らは一日たりとも過ごしたくはない。
しかし、他国から南アフリカに移動する時の飛行機はほとんどがヨハネスブルグ経由である。
ヨハネスブルグの空港に着いたらすぐにケープタウン行きの飛行機に乗り換えよう!
そんな気持でいっぱいであった。
不安な街ヨハネスブルグ空港の巻
インドのムンバイ空港の出国ゲートで、何故か僕らのグループだけが止められた。
アジア人の個人旅行者の団体が珍しいのか、「なぜ日本人の君達がインドからわざわざ南アフリカに飛ぶんだ!?」と一人一人散々な質問攻めに合い、パスポートも何度もチェックされゲート前で待たされた。
そして出発時刻だけが刻一刻と迫ってくる。
しかしなんとか僕らは出発時刻ギリギリで飛行機に乗ることができた。
早朝3時50分ムンバイ空港を出発し、約5時間のフライトののち、エチオピアのアジスアベバでトランスファー(乗り継ぎ)した。
アフリカに入って、オラがまず思った事。
アフリカ人はでかい! 悪役レスラーがそこら中にいるみたいで見た目が怖い。
インド人ならそんなに大きくないのでケンカしても勝てそうな雰囲気だったが、ここのやつらとケンカしたら確実にねじ伏せられるだろうと思った……。
アジスアベバからは約6時間のフライトの末、ヨハネスブルグの空港に到着した。
現地時間は14時であった。
ヨハネスブルグは世界で最も危険な犯罪都市と聞いているので、早く国内線の飛行機で安全な街に移動しよう。
そんな気持ちでいっぱいであった。
近くにいたポーターに国内線の場所を聞いてみた。
するとポーターは、階段を上がったあと、いったん外に出て300メートルくらい進んだところに国内線があると答えた。
みんなは、ポーターの「いったん外に出る」と言う言葉に驚いた。
ガイドブックにヨハネスブルグの空港の外は特に危ないと書いてあったからである。
空港の外だって!? そんなん、まるでゾンビの居る街に飛び込むようなもんやんか……。
「外に出た瞬間、バァーンとかない?」菊ちゃんがビビリながらそう言った。
「大丈夫、オレが道案内してやるぜ!」ポーターは、鼻高々に言った。
ほんと!? なんて心強いの~。
こうしてオラと菊ちゃんはポーターの付き添いで無事に国内線のゲートまでたどり着いた。
ありがとうポーターさん。
国内線の場所が分かったのでオラは菊ちゃんに、みんなを呼んでくると告げて国際線に戻ろうとした。
がしかし……。
菊ちゃんとポーターはふたり並んでこちらを見ていた。
はっ、待てよ、ポーターよ、お前は来ないのかよ~!
オラはひとりで空港の外に出る事になるじゃん。
途中で強盗に襲われたらどうするねん……。
仕方がないのでオラはひとりでみんなのいる国際線に向かうことにした。
元来た道を戻るだけなのにポーターがいるのといないのとでは全然安心感が違う。
オラは辺りを警戒しながら国際線の建物へと早歩きで戻っていった。
そして再び菊ちゃんとポーターのいる国内線にみんなを連れて来たのであった。
「ねぇ、さっきのポーターさんにチップを渡さないといけないんじゃない?」マッキーが思い出したかのように言った。
「そうだねぇ、こっちの国はチップ社会みたいだもんなぁ」ぷる君が同意したように答えた。
「ねぇ、いくら払う?」
菊ちゃんは少し考えた末こう言った。「5ランドくらいかなぁ」
「え~、300メートル付いて来てもらっただけで5ランドは払い過ぎじゃない?」マッキーが言った。
オラは払わなくてもいいと思っていた……。
「そうやな、じゃぁ、1ランドにしよう」
「ポーターさん、ありがとう、僕らを守ってくれて♪」
オラは思った。
「守ってもらえたん菊ちゃんだけやん!」って突っ込みたかった……。
みんなでお礼を言ってチップをポーターに渡した。
しかし、ポーターは僕らのチップを受け取らず、向こうに去って行った……。
「カ、カッコいい♪ オレもああいうカッコいい人間になりたいな♪」菊ちゃんは惚れ惚れするような目つきでポーターの後姿を見つめていた。
「違うよ、あれはきっと怒ってお金を返されたんだよ」ぷる君が困った表情で言った。
たしかにそうだ、1ランドを調べてみると、日本円で約17円だった……。
そりゃ、馬鹿にされてると思って怒るわ!
僕らは物価の安いインドから来たから、金銭の感覚がおかしくなっているんだよなぁ……。
ふと国内線の建物から外を覗くと、僕らが歩いて来た国際線の建物から、バカンスを楽しみに来ていると思われるような、グラサンにカラフルなワンピース姿の白人女性や、乳母車を押しながら楽しそうに会話をして歩いているアフリカ人の家族連れが、僕らと同じように国内線のゲートに向かって歩いて来ていた。
……。
あれ、空港の外は危険な場所では無かったっけ!? 危険な場所なら家族連れはより警戒しそうなもんだしなぁ。
よく考えると、空港の乗り継ぎルートが危険なら、所々にポリスが立っていてもおかしくない……。
僕らが、過剰に危険がっていたのかも知れない。
そう思うと少し安心した気持ちになった。
そして僕らは、ケープタウンに向けて出発しようとした。
しかし、ようちゃんとあけちゃんは、ぐったりしていてしんどそうだ。
実は、インドのムンバイで、ようちゃんとあけちゃんと菊ちゃんの3人はまたまた熱を出していた。
ムンバイの宿でお医者さんに見てもらい、菊ちゃんだけすぐに治ったが、ようちゃんとあけちゃんは未だ引きずっているようである。
オラは、このまま飛行機で移動できそうかふたりに聞いてみた。
ようちゃんは何とか移動できるみたい。
しかし、あけちゃんの方はこれ以上移動するのは無理そうだ。
「仕方がない、出来ればヨハネスブルグには滞在したくなかったが、近くの宿に宿泊することにしよう」
僕らは空港からすぐ近くの宿に泊まることに決めた。
空港へは、宿専属のタクシードライバーが迎えに来てくれることとなった。
大きな違いは、最終目的地まで同じ飛行機で行くかどうかということ。
目的地を経由していく場合の言葉で、燃料や食糧を補給するためにいったん着陸し、再び同じ飛行機で目的地に向けて飛び立つ事を『トランジット』と言い、途中で飛行機を乗り換える事を『トランスファー』と言う。
トランジットの場合
寄航時間は30分から1時間程度。乗客は機内で待つ場合と空港のトランジットルームを利用する場合とがある。機外に出るときには、パスポートをはじめとした貴重品は必ず携帯して席を離れること。
トランスファーの場合
場合によっては、乗り換え地における空港やターミナル間の移動があったり、現地で新たに搭乗券を発行してもらう必要があったりするので、出発時、搭乗券を受け取った際にきちんと確認しておく。
アフリカはもう少し安いと思ったが予想外に物価が高かったので、なんとかしなくてはいけない。
みんなでシェア飯を作ればかなり食費が抑えられる。
アフリカでは共同キッチン付きの宿が多いので、順番に料理当番を決めて食事を作る旅が始まるのであった。