バンコクの街探索の巻
タイに入ってからというもの、やたらとオッキーのテンションが上がってきた。
自分のあこがれの地、インドに近づいて来たという事と、オッキーは昔、タイを1か月ほど旅行した事があったからである。
オッキーはみんなの希望を網羅した完璧なスケジュールを提案した。
内容は以下の通り……。
(1) 夕方までそれぞれお買い物タイム。「アコちゃんが買い物をしたいと言っとったけん」
(2) 19時バンコクイセタン前にある大きなスヌーピーの前に集合。「みんなが記念撮影をしとうなるスヌーピーじゃ」
(3)「タイスキ鍋」を食べに行く。「ようちゃんが行きたがっとったじゃろ」
(4) クラブに踊りに行く。「タイに行ったら全員で行こうと決めとったけん」
「それいいねぇ♪」みんなは、今まであまり仕切ろうとしなかったオッキーの突然の行為に驚き、逆に頼もしく感じていた。
「よしゃ、じゃぁ決定じゃ!」
という事で、オラは、その日の夕方、ワールドトレードセンターにあるイセタンに向かった。
イセタンには紀伊国屋書店や日本の食材も豊富に揃っていて、まるで日本にいる気分であった。
さて、みんなと集合予定のスヌーピーを探すが、人がごちゃごちゃしていて判りにくい。
しかし、モヒカン頭の菊ちゃんを先に発見できたので何とか集合場所を確認できた。
みんなが揃ったのでイセタン近くのタイスキのお店に夕ご飯を食べに行き、オッキーが昔行った事があるという、クラブに行く事になった。
オッキーは「ホテルの地下にあるんだ」と言ってどんどん歩いて行き、そのまま超豪華ホテルに入って行った。
ホテルのお客さんは全員スーツかドレスって感じ……。
あきらかにこのホテルには僕らはミスマッチだ!
僕らは思わずホテルの外に出てしまった。
「みんなどうしたんじゃ?」オッキーは怪訝そうな顔で言った
「ほんとにここ? 間違ってるんじゃないの?」菊ちゃんは訝しそうに眉をひそめた。
「ここでおおとるって! 大丈夫やって!」オッキーが自信満々そうに言うので仕方なく僕らは、ホテルの地下にある綺麗なクラブに入ることにした。
そして当然僕らは止められた……。
特に菊ちゃんの格好は、「Tシャツ・短パン・ゾウリ・モヒカン」やっぱり駄目か!?
しかし、クラブの受付のお姉ちゃんは、親切に僕らの格好でも入れる別のクラブを紹介してくれた。
僕らはお姉ちゃんに礼を言い、紹介してもらったクラブへと移動した。
そこは、『ノモトホテル』の地下にある小奇麗なクラブだったが、僕らの格好でも何とか入る事ができた。
クラブ内では男性メンバーは現地の女の子にモテモテ。
お金目当てなのか? それともまたまたおかまちゃん!?
しかし、あこちゃんは嫉妬
「私もお洒落な格好してたら、タイの男の子にモテたかもしれんのに~!! 今度は綺麗な洋服着てタイに遊びに来たいな」
アコちゃんは口を尖らせて言っていた。
そして僕らは、深夜まで踊りを楽しんだのであった。

集合場所のスヌーピー?
「あなた達、ここに書いてあるでしょ、短パン、ぞうり、ダメって!」クラブの受付のねぇちゃんが言った。
「え~、そこをなんとか~」
「ダメ!」
クラブの受付のねぇちゃんは、両手で大きくバツを作った。
菊ちゃんは短パンをギリギリまで降ろし、長ズボンの様に見せかけた。
受付のねぇちゃんは、菊ちゃんのマヌケな格好を見て大笑いしていた。
「でも駄目なものはダメなの……」

短パンをずらして長ズボンの様に見せかけようとする菊ちゃん