4.みんなで世界一周計画 中国編 至難の中国 (宿を探せ)の巻

至難の中国 (宿を探せ)の巻

神戸港を出て2日後のお昼過ぎに僕らの船は、天津港に到着した。さていよいよ異国地、中国での冒険がスタートだ。今日の僕らの任務は、
(1)中国のお金(元)を手に入れること
(2)天津港から北京市まで移動
(3)北京で今夜の寝床を確保すること

全く初めての土地に来て最低限、僕らが行わなければいけないミッションであった。
港の海は増水した川のように茶色く濁り、空の色は、晴れているにも関わらず、灰色に曇っていた。この辺りは、工場地帯で空気もあまり良くはないのかと思った。

港からしばらく歩くとすぐにバス停らしきものを発見!
そのバスには、偶然船で知り合ったぶっ飛び男の菊ちゃんが乗っていた。
彼は全く(元)を持っておらず、船で知り合った中国人のおじさんにバス代をおごってもらい、天津市内の銀行まで行くところのようだ。
僕らも、すし屋の看板娘のアコちゃんしか(元)を持っていなかったので、菊ちゃんのプランに便乗する事にした。

銀行に着くまでのバスの中は、超満員状態!
「さぁ、次で降りるぞ!」菊ちゃんが知り合った中国人のおじさんが、地面に親指を指し合図をしてきた。
オラは、慌ててバスから降りようとするが、バックパックが引っかかりスムーズに降りられなかった。 はぁ、何とか人混みをかき分け下車できたぞ!
「あっ! あけちゃんとアコちゃんが、まだバスの奥でもがもがいてるー!」慎重派女のマッキーがバスの奥を指差し、オラに向かって叫んだ。
慌てたオラとマッキーは、バスのドアが閉まらない様、とっさに押さえに行った。なんとか二人ともバスから自力で脱出成功。僕らはホッとため息をついた。

僕らの降りたバス停の、大きな道路の向かいに、銀行らしき建物を発見。しかし、近くに横断歩道が無く、車の間を掻い潜って建物まで走らないといけない。

「よし、みんな走るぞ!!」 オラが叫んだ。

しかし道路を走る車はクラクションを鳴らしながらお互い抜きつ抜かれつ、まるでレースの如く一般道を走っている。僕ら歩行者の事なんてまるで眼中に無い様子。なんとか無事に車線を越えると、今度はチャリンコ軍団が襲ってきた。チャリチャリチャリチャリ、僕らは、車とあまり変わらないスピードで走っているたくさんの自転車を避けるのに必死だった。怖え~、さすが中国だとオラは思った。

なんとか銀行の前にたどり着いたが、中国は国慶節(祝日)なので、なんと、銀行は閉まっていた (ガーン)。

仕方が無い、北京市内まで行ってしまおう。菊ちゃんの知り合った中国人に二台のタクシーを捕まえてもらい、北京行きの長距離バスが発着する『塘沽バスターミナル』まで向かうことにした。そしてここまで連れてきてくれた中国のおじさんにお礼を言って別れた。

塘沽バスターミナルに着いて、北京行きのチケットを購入、バス代一人46元(約690円)。ぶっ飛び男の菊ちゃんもアコちゃんから(元)を借りチケットを購入した。バスに乗り込もうとしたその時、なんとATMがあるのを発見した。
とりあえず英語の得意なあけちゃんが、自分の国際キャッシュカードで(元)の引き出しに挑戦。ガチャガチャチ―ン。あけちゃんは無事1000元をゲット。

「おめーら、早くバスに乗れよ! もう時間なんだよ!」 と言わんばかりにバスの運転手は、大きな声で叫びながら手招きしてきた。
このバスに乗らないと今日中に北京にたどり着けないと思い、僕らは慌ててバスに乗り込んだ。天津から約2時間30分で北京市内の『永定門バスターミナル』に無事到着。

北京市内に着いた頃には、辺りはもう真っ暗になっていた。早く今夜泊まる宿を探さなくては……。
しかし、ここは北京のどのあたりなんだ? 僕らが途方に暮れていると、現地の人達が色々話しかけて来る。現地のおっちゃんやおばちゃんが親切に地図を広げて現在地を教えてくれる。しかも、地図をくれるみたい。おおっ、なんて中国人はやさしいんだ!

そして、現地のおばちゃんが一言
「8元プリーズ」

「おい、金取るんかい!! ほな要らんわ!」

 現地の客引きのおっさん達が、しきりになにか勧誘してくる。海外経験の少ない僕らには、わけの分からない言葉を発して近寄ってくる中国人が怖くてしょうがなかった。

客引き達のしつこい勧誘をふりきり、とりあえず公衆電話を探した。
しばらく歩くと、電話機の置いてある路上の売店を発見。日本でいう駅のキヨスクみたいな感じ。売店の姉ちゃんに電話で話した分だけ後でお金を払えばいいみたいである。
船で知り合った中国人の女の子達に安宿の情報を聞いていた僕らは、電話で片っ端から空き状況を確認する。
ここは英語の得意なあけちゃんの出番である。

プルルル……。
しかし、今の僕らの資金で泊まれる宿は、どこもいっぱいで空いてないようだ。
どうしよう……。

仕方がないので、歩いて宿を探すことにした。
オラとぶっ飛び男の菊ちゃんで宿探し。残りのメンバーには、売店の前で荷物番をしてもらった。
そして九州男児のようちゃんが、秘密道具をオラに渡してくれた。

パンパカパーン 「トランシーバー♪」
おおっとこれは便利だ!

そして僕らは、真っ暗な怪しい路地裏を抜けて安宿探しへ。街灯の無い狭い路地裏には、お客の入っていない羊肉串と書いた小さな店や、怪しそうな床屋などが並んでいた。こんな場所、一人やったら怖くて歩かれへん、と思った。

しばらく歩き回っていると3階建てくらいの小さな、古いホテルを見つけた。しかしホテルの従業員には英語が全く通じない。菊ちゃんが、日本の100円均一で買った中国語辞書を取り出し、筆談で宿の交渉を始めた。
しかし、ホテルの従業員は、日本人はここには泊まれないのだと言っている様だ。仕方が無いので別の宿を探すことにした。

すぐ近くにもう一件宿があるのは分かっていた。暗くてやっているかも分からない汚い宿だったので、最初は素通りしたのだが……。
しかし、近くに他の宿はなさそうだったので、仕方なしにその宿の敷地内に入ってみる事にした。

門の中に入ると、庭先にテーブルが置いてあり、そこには軍服姿の、怪しい髭の兄ちゃんが座っていた。
その兄ちゃんは、暗闇の中でひまわりの種の皮をむき、足元にポイポイ捨てて、中の実をポリポリ食べていた。あまりの不気味さに僕らは一瞬ひるんだが、ぶっ飛び男の菊ちゃんが、思い切って髭の兄ちゃんに声をかけた。髭の兄ちゃんはすくりと立ち上がると、薄明かりのついた宿のフロントらしき入り口に入って行った。
中から気の強そうなおばさんが出てきた。僕らはそのおばさんにこの宿に日本人8名で泊まれるか聞いてみた。おばさんは、大丈夫だという。菊ちゃんがダメモトで、値切りをかけてみたら、なんと、それもOKだった。
一人1泊55元(約825円)で、初宿をゲットできた。
僕らはガッツポーズ! 
足早にみんなの元へ戻った。

僕らは、みんなを連れて、ルンルン気分でさっきの安宿へ向かった。
各部屋に分かれてくつろぎ始めたその時、宿のおばちゃんが思いがけないことを僕らに言ってきた。
「やっぱ外国人は泊まれないんだ」えっ、今なんかおっしゃいましたか?
「やっぱ外国人は泊まれないんだ」おいおい、さっき泊まれるって言ったやないか!?
しかしおばちゃんがお金を返してきたので仕方なく宿を出る事にした(ションボリ)。

髭の兄ちゃんは、僕らに申し訳ないと思い、別の日本人でも泊まれる宿を紹介してくれると言ってきた。僕らが、髭の兄ちゃんの後をついて歩くと、7階建ての小奇麗なホテルが見えてきた。
“丘阳大厦”まさかあそこちゃうやろなぁ、そこはさっき僕らも前を通ったが、見るからに値段が高そうなので、素通りしたホテルである。
僕らの今の資金じゃ泊まれないん違うん。しかしこの時すでに夜の21時。今から別のホテルを探すのは大変だ、何とかここのホテルと交渉しよう……。

8人全員がフロントの前をぐるりと囲み、日本語も英語も話せないホテルの従業員のお姉さんに、電子辞書と中国語辞書を使い、あーや、こーや言いながら、必死で僕らの意図を伝えようとする。
しかしなかなかうまく通じない。
僕らが頭を抱えていると。宿泊客の中国人女性が英語で僕らに話しかけてきた。
「Shall I help you?(お助けしましょうか?)」

英語の得意なあけちゃんが、僕らの事情を彼女に説明し、その中国人女性が、今度はフロントのお姉さんに丁寧に説明してくれた。
結局、1泊300元のここのホテルの二人部屋を二部屋借り、女は3人、男は5人で泊まるという裏技でなんとか寝床を確保する事ができた。そして北京滞在中の宿はここ丘阳大厦を拠点とする事に決めた。

初っ端からトラブル続きでみんなのお腹もペコペコ。さぁ、近くのお店で初ディナーパーティーだ。ホテルの前の歩道橋を渡ると、直ぐにいくつかの食堂が並んでいた。僕らは食堂の外にテーブルが置いてある店を選んだ。
メニューを見てもよく解らなかったが、とりあえず冷たいビールが飲みたい。メニューの飲み物欄に大と小と書いてあった。オラはこれを生ビールだろうと勝手に判断し、大を一つだけ頼んでみた。するとなんと、レモンソーダの大が出てきた。
「いらねぇ~」
すし屋の看板娘のアコちゃんが電子辞書でビールは『啤酒』だと調べてくれた。そしてなんとか本物の生ビールが出てきた。
よーし、みんなお疲れ様、「干杯(カンペー)(乾杯)!」グビグビグビ……。
「なんじゃこりゃ、ぬるい~!!」なんと、中国の一般食堂では、飲み物を冷やすという習慣が無いのか常温のビールが普通に出てくるのであった……。
さぁ、食事を頼むぞ。
メニュー表には漢字のメニューが書いてあったが、もともと中華料理のコックの経験があるオラには、なんとなく素材が分かる物もあったが、ほとんどのメニューは何が書いてあるのか分からなかった。

すし屋の看板娘のアコちゃんが電子辞書でメニューの素材を調べて、店員さんに聞いてくれているみたいだ。「さすがアコちゃん、美味しい物をいっぱい頼んでね!?」 しかし、アコちゃんの電子辞書の画面を不意に覗いてみると、そこには『熊の手』と書いてあった……。

「熊の手て……。それ高級食材違うんか!? 一般食堂にそんなんあるか!! あったとしたらそれ頼むんか!? 旅始まって最初の食事で僕ら破産やんけー!!」
どうもアコちゃんは食に関しては、僕らと金銭感覚が違うらしい……。

そしてこだわり派男のダイタが、アコちゃんに代わって食事のメニューを店員さんに頼んでくれた。鉄板に盛り付けられたお肉と青野菜の炒め物、羊肉の揚げ物、他数種類のメニューをみんなで突いて食べることにした。
「好喰(ハウチー)(美味しい)!」
たっぷり食べて、これで一人13.2元(約198円)は超お得だ。
さぁ明日も頑張るぞ!!

中国で始めて泊まった宿『丘阳大厦』

コラム 恐るべし中国の交通事情
中国の交通はめちゃめちゃ危険、日本と違って右側通行で、交差点では車は常に右折可能などという交通ルール。人が道を渡るのも命がけである。日本では歩行者優先であるが、ここの国では歩行者は一番弱く、車→バイク→自転車の順番で優先順位が決まっているように思える。ボーとしていると、ひいちゃうぞって感じ!
まさに弱肉強食の世界である。
なんとか車線を越えたが、次はチャリにひかれそうになる。
チャリも僕らに容赦なく突っ込んで来るのである。
おまえら、ちょっとは遠慮せーよ(怒)!!
車道の脇を猛スピードで走り抜けていく自転車に乗った中国人達

車道の脇を猛スピードで走り抜けていく自転車に乗った中国人達

コラム 中国のATM 事情
海外で国際キャッシュカードやクレジットカードを使う時はPLUSやCIRRUSのマークのあるATMを探すことになる。
ATMの使い方
(1)カードを入れ、暗証番号を打ち、CONFIRM(確認)のボタンを押す。
(2)国際キャッシュカードやVISAデビッドカードの場合はSAVING、クレジットカードの場合はCREDITを押し、CONFIRM(確認)を押す。
(3)CASH WITHDRAWAL (現金お引き出し)を押す。
(4)希望金額を数字ボタンで押し、CONFIRM(確認)を押して現金を受け取る。
(5)CANCELを押しカードを受け取る。
注意 機械によって多少使い方が異なる、あと操作に戸惑って時間が経つと、カードや現金が吸い込まれてしまうので気をつけよう。
コラム 中国の公衆電話
中国の公衆電話は、IPカードを挿入してかけるタイプが多い。IPカードは普通の通話料の3分の1の値段で売られており、長時間かける場合にはかなりお得。
主に路上の売店で売られている。
─日本にかける場合の使用方法─
(1)IPカードの表に書かれている5桁の番号を入力。
(2)自動のガイダンスが流れ、中国語ガイダンスか英語ガイダンスのどちらか選択するようなメッセージが流れる。
(3)カード裏面に記載されているカードナンバーを入力。
(4)カード裏面に記載されているパスワードを入力。
(5)国際電話発信の00を付け、日本の国番号81、市外局番3、電話番号を押す。
IPカードを使わない場合、僕らは主に売店や郵便局に置いてある電話を使用した。
売店のお姉ちゃんに電話で話した時間の分だけ後で現金支払いするのである。
注意: 最初に時間いくらになるのか聞いておき、自分達でも何分しゃべったか計っておかないと、あとで大抵料金をごまかされる。
コラム 北京の宿事情
2006年度
北京市内の三星以下のホテルはほとんどのところが外国人の宿泊を拒否していた。
公安(警察)に見つかると宿がペナルティーを受けるようだ。
理由は北京オリンピック開催前で、セキュリティや治安の維持のためだったようだ。
外国人が泊まれる安宿の中では、「ユースホステル」が若者向けの宿としてある。ユースホステル(YH)は、ドイツではじまったもので、日本、アメリカ、ヨーロッパ各国にもあり、バックパッカー達に人気が高い。
北京では、部屋は4~8人部屋のドミトリーが基本。YH会員で1ベッド50元、会員でない場合は60元くらいで宿泊可能。
日本のYH協会の会員証でも宿泊可能。一般会員が2500円

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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ABOUTこの記事をかいた人

2016年11月~2017年4月までの約半年間、仲間を募って中南米一周してきました。 夏のシーズンは、アウトドアクラブNuts(ラフティングカンパニー)の代表を務めています。オフシーズンはアウトドア系社会人サークルのイベント(ボードツアーなど)行っています。また、ラフティングトレーニングやアウトドアの遊びの研究をするため、海外に出かけたりしています。 旅やアウトドアに興味がある方はぜひお友達になりましょう♪