首都バンコクは近隣アジアへの中継点でもあり、海外旅行者に人気が高い都市。
北部のチェンマイは、山岳民族の住む村やトレッキングの拠点になる町。
南部のプーケットやサムイ島などはビーチリゾートで有名。
タイは文化遺産や自然が豊富で旅行者にとって魅力溢れる国である。
1バーツ=約3.00円 (当時2006年10月31日~11月8日)
1バーツ=約3.17円 (2016年2月現在)
水没の国境越え巻
カンボジアのシェムリアップを7時半に出発し、僕らはサリーが用意してくれた2台のタクシーで情熱の国“タイ”を目指した。
ここから約2時間半で国境の街ポイペトに到着予定だ。
この旅を始めて以来、運がいいのか、まだ一度も雨にはみまわれていない。
道路が水没しているなんて全く想像できないほど、雲ひとつない青空が広がっていた。
しかし、水没現場に近づくにつれ、どんどん辺りは湿地帯に変わっていき、村が床下浸水している所もあった。
舗装されてない道路の土が、どろどろの粘土質に代わり、トラックなどの大きな車は完全にぬかるみにはまって、全く身動き取れない状態であった。
ぬかるみの一番ひどい所は、人間のひざ上ぐらいまで泥水に浸からないと道を通れないのである。
僕らの前にも数台の乗用車が水没現場の前で通行の順番待ちをしているようだ。
ここをどうやって突破するのだろうか!?
よく見ると10人ぐらいの現地の人達が、泥水の中で乗用車を待ち構えている。
その人達にお金を支払い、現地の人に引き上げてもらっているようだ。
車の窓を少し開け、現地の人達がそこに手を差し込み、一斉に掛け声をあげる。せーの!エッホ!エッホ!
オラはすごい光景だと思い、その様子をビデオで撮影しようと車から降りて見に行った。
はっ!オラの乗ってきた車がいない!!
直ぐ後ろにいたはずのタクシーがいない事に気づいたオラは顔面蒼白になった。
オラはタクシーを必死に捜した。
すると何と、オラだけをほっぽらかして、タクシーはどんどん泥水の中に移動しているではないか?!
きゃー、置き去りにしないで~!
しかし、時すでに遅し……。
タクシーのおやじは、オラが近づけないくらい、その深い泥水の中へとどんどんツッコンで行ってしまった。
オラは泣きそうになりながら、ズボンを捲くり上げ、泥んこの少ないあぜ道を走って追い掛けた。
わぁ、わぁ、わぁ、泥んこが跳びはねるっ!!
タクシーが泥水で苦戦している間になんとか先回りできて、無事に戻る事ができた。
一緒に乗っていたダイタとマッキーは笑ってこっちを見ていた。
おーい、声ぐらい掛けてくれよ!!
オラをほっといて行っちゃうなんて、おやじもおやじだ!!
オラはタクシーのおやじを悲しみの目でにらみ付けた……。
しかしおやじは、何も無かったかのように無表情で車を発進させた。
おかげで買ったばかりの、おニューのズボンの裾が、泥だらけになってしまった!!
しばらく移動すると、おやじは舗装されていない、まっすぐの道をいきなり猛スピードで走り出した。
砂煙がもの凄い。そんなにスピード出して大丈夫かよ~
すると突然、車の調子がおかしくなり、ブスブスブスと止まり始めた。ほら、言わんこっちゃない。
ざまぁみろ、オラをないがしろにするからだ!しかし、国境まではなんとか走ってもらわないと困るなぁ……。
何度かスタンドに止まり、予定より1時間遅れで何とかカンボジア側国境(ポイペト)にたどり着いた。
他のメンバー達の乗ったもう一台のタクシーは、既に到着していたが、彼らも途中タイヤがパンクして、修理するのに時間を食ったらしい。
僕らはさらりと入出国手続きを終え、タイ側のボーダー(アランヤプラペート)から長距離バスに乗りバンコクに向かった。
プノンペンを7時半に出発し、バンコクに着いたのは19時であった。
さすがにバンコクは今まで訪れた町と違い大都会だ。
この町では何でも揃いそうなので、文化のあまり発達していないインドに入る前に、色々と調達する事にしよう……。
僕らはバックパッカーの集まる通り、カオサン通りに宿をとる事にした。
ちょっとでも無茶な運転をするとすぐに壊れてしまう。
タイに来るバックパッカーは、必ず一度はここに立ち寄ると言われるぐらい、外国人バックパッカーの溜まり場になっているのである。
僕らが到着した日の夜、カオサン通りは人・人・人で溢れ返っていた。いつもこんなに人が多いのかなぁ?
そういえばこの日10月31日はハロウィンであった。
まわりには角を生やした女の子達や、お化けの仮装をした人達でお祭りが華やかな賑わいになっている。
普段のカオサン通りは写真の10分の1位の人の数。ハロウィンの日は、野外ライブなども行なわれ、普段と打って変わって活気に溢れている。
ぷる君合流の巻
バンコクに着いた日の翌日。
今日は、旅仲間になるぷる君との合流の日であった。
ぷる君は、福岡から来た合流組で、知識豊富な博士タイプの男である。
彼は、一足先に日本を飛び出し、僕らとほぼ同じルートでアジアを周り、バンコクで合流予定だった。
そのぷる君とはいつもメールでやりとりをしていた。
彼は先にバンコクに着いて、カオサン通りのkikikiゲストハウスという宿に泊まっている予定だった。
しかし、やっとそのゲストハウスを探し当てたというのに、宿泊者名簿にはぷる君の名前は載っていなかった。
宿のインターネットでメールを開くとぷる君からメッセージが届いていた。
どうやら、kikikiゲストハウスの近くに漫画の単行本が、たくさん置いてある宿を発見した、という訳のわからない理由で宿を変えたらしい。
しかも、待ち合わせ場所を「今日のお昼に広場で集合しましょう」とだけのメールを送ってきた。
広場ってどこやね~ん!
kikikiゲストハウスのおばちゃんに「広場ってどこにあるの?」と聞いてみると、カオサンロードの外れに公園の広場があると聞いたので、オッキーと捜しに行った。
しかし、そこの広場は、甲子園球場の10倍くらいの広さがあった。
この場所でぷる君を捜すとなると『ウォーリーを捜せ』の100倍くらいの難易度があると思ったので、僕らはぷる君との合流をあきらめ宿に戻った。
みんなにも、残念ながらぷる君との合流は今回無かった事にするよと伝えた。
まぁ、もちろん冗談だけど……。
「そっかー、残念やなぁ、まぁ菊ちゃんおるしいいかぁ」マッキーが意地悪っぽく言った。
「ぷる君、さっき、そこの広場で見かけましたよ!」せっかくみんながボケてるのに、ようちゃんが、淡々とした態度で言った。
「なに、そこの広場?!」なんじゃそりゃ、オラは、拍子抜けした。
kikikiゲストハウスから10mくらいの場所に、たしかに小さな広場があった。
その時! ネームボードを持って、こちらを見ているぷる君を発見してしまった。
他の旅行者からインド人経営の店が一番安いと聞いていたので、早速、探しに行った。
インド人の店は目立つのですぐに見つかった。
他の旅行会社も何軒か覗いてみたが、僕らの都合に合う(日程や時間の合う直行便)チケットが最安値だったのは、やはりターバンをかぶったインド人がデスクに座っている店であった。
僕らは、航空チケットをカードかTCでそれぞれ支払いするため、ターバンのおじさんと英語で交渉し購入することとなった。
『トラベルインスタイル』カオサン通りとラチャダムヌン通りの間の狭い通り
タイ(バンコク)発インド(デリー)行き格安航空券 片道約3万円