旧首都はダルエスサラームで1996年に立法府の議事堂が法律上の新首都ドドマに移転された。
1000タンザニアシリング=約98円 (2006年12月27日~2007年1月1日)
現在のレート
ザンビアのカピリムポシとタンザニアのダルエスサラーム間を、1860キロで結ぶ鉄道。
ザンビア側から乗る場合は、切符はカピリムポシではなくザンビアの首都ルサカで買うことになる。
運行は、火曜と金曜の週二回、座席は(一等四人個室・二等六人個室・三等座席)があり、一等と二等はコンパートメント(仕切りのある個室)になっている。
ザンビアとタンザニアの出入国審査は、なんと各座席で行なわれ、パスポートにスタンプをその場で押してくれる。
また通貨の両替も列車の中で済ませられる。ザンビア通貨(クワチャ)→タンザニア通貨(シリング)もしくは、米ドル→シリングに交換可能。
なおザンビア通貨は、レートが良くないので米ドルからの両替をする方が、換金率がいい。
更に100米ドル札は何故かすごくいいレートで交換してもらえる。
そのためみんなはこの日のために用意しておいた100ドル札を使う事にした。
タンザニアに入ると途中国立公園の大草原の中を走ることになる。列車の窓からキリンやカバなどの野生動物が、見られるのだ。
タンザニアからザンビアに向かう逆の列車では、国立公園を夜に移動するので残念ながら動物は見られない。
The fish finishedの巻
ザンビアのルサカで、アフリカンクリスマスを楽しんだ僕らは、タンザニアのダルエスサラームまでの移動手段に、バスか列車の移動を考えたが、タンザン鉄道を利用することにした。
タンザン鉄道は2泊3日の列車での移動途中に国立公園(国が自然の動物達を保護する地域)の中を走るので、車窓からキリンやカバなどの野生動物が見られると聞いていたからだ。
それに僕らは移動中自由に動き回れる列車の旅が快適に感じていた。
タンザン鉄道の出発地点は、首都ルサカではなく、カピリムポシという聞き慣れない町であった。
ルサカのバスステーションを10時10分のバスで出発し、カピリムポシのバス停に到着したのが、14時30分であった。
しかし、タンザン鉄道の発着する駅はそこではなく、更にタクシーで5分ほど走ったニューカピリムポシという駅であった。
お昼ごはんを食べていない僕らは、少しお腹に物を入れておきたいと思った。
しかしニューカピリムポシの駅前に着いたオラは、愕然とした。
観光用のお土産屋おろか、食堂すらもなく、小さな売店がポツリと1軒だけ建っているだけであった。
国際列車の始発駅ならもうちょっと立地条件はいいと思っていたが、オラの予想を見事に裏切ってくれた。
仕方がないので売店でコーラを買い、少しでもお腹を膨らますことにした。
その後、駅の窓口でルサカで購入した2等寝台のチケットを交換し、僕らは、列車に乗り込んだ。
15時10分タンザン鉄道出発。列車自体は、まぁまぁ快適そうな中国の寝台列車の時と同じ作りの列車であった。
お腹を空かせたみんなは、座席で少しくつろいだ後、食堂車に向かい、ディナーのメニューを選んだ。
メニュー表のメインディッシュは、肉か魚のどちらかを選べるようである。
ザンビアでは、料理が出てくるのがすごく遅いので、バラバラのメニューを頼むと更に遅くなると予測しみんなは無難に統一して肉料理を選んだ。
しかし、ぷる君は、魚が食べたいと言いはり、一人だけ魚料理を選んで注文した。
「一人だけ違うメニューだと出てくるの遅くなるんじゃない?」 ようちゃんがちゃかすように言った。
「大丈夫だよ、ほらあそこのテーブルの欧米人も魚料理を注文してるじゃん」 ぷる君は自信満々に言った。
そして僕らのテーブルには、順番にお肉のコース料理が運ばれてきた。1600シリング(約157円)
しかしぷる君のテーブルの前には何も出てこない。
みんなが食事を楽しんでいる中、ぷる君が手持ち無沙汰にしていたので、みんなが気を使い「これ少し食べる?」と聞いたり、料理を取り分けたお皿をぷる君の前に差し出したりしていた。
しかし、ぷる君は自らみんなと違うメニューを頼んでいたので「じゃぁちょっと頂くわ!」とは言えず、お腹が空いたのを我慢していた。
ぷる君は、テーブルをスプーンでカンカン鳴らし、ウェイターにイライラ度をアピール。
そのうち、ぷる君より後に注文していたはずの欧米人のテーブルに先に料理が運ばれてきた。
「え~、ぷる君の料理忘れられてんちゃうん!?」
みんなが、「これでウェイターが『フィッシュはフィニッシュ』なんてギャグを言うたらぷる君ブチギレやろね!」と冗談を言う。
ぷる君はみんなの言葉で不安になり、再度ウェイターを呼んだ。
「fishまだ!?」
そしてみんなの期待どおりの展開が起きた。
ウェイターは、頭上から片手を振り下ろし空を切りながら言った。
「 fish finished!!」
ぷる君の怒りを抑えるバロメーターの目盛りが一気に限界地を突き抜けた。
「ざけんな、こらー! 無いなら先に言え、こらー!!」ぷる君は、いきなり立ち上がり、肩を怒らせ厨房にまで文句を言いに行った。
厨房から帰ってきたぷる君は、元のテーブルの座席に座りなおしてもまだ肩をプルプルさせていた。
店員は申し訳なさそうなふりをしながら違うメニューを聞きに来た。
ぷる君はあまりの怒りに、自分達の車両の座席まで持って来いと言い放った。
それから30分以上経ってから、僕らの車両のぷる君の座席にようやく肉料理(これしかなかった)が運ばれてきた。
待ちくたびれたぷる君はもう怒る気力も失っていると言っていたが、ウェイターがやって来るととたんに怒りが込み上げてきたのか、再びウェイターに文句を言いだした。
しかし、ウェイターはあんなにぷる君に怒られているのにも関わらず最後の最後にお釣りを間違えて帰って行ったのであった。
手のひらに残ったお釣りが少ないことに気づいたぷる君はすかさず、ウェイターを追いかけ食堂車に向かって走っていった。
二人のやり取りの一部始終を見ていたオラは、お客に散々文句を言われても動じないタンザニア人も凄いと思ったが、ぷる君のけっして身を引かない根性に、ただただ凄いなぁ、と感心したのであった。
ルサカからニューカピリムポシ駅までは、バスとタクシーを使うことになる。
僕らはバックパックを担いで、ルサカのバスステーションに向かった。
すると、客引きの黒人達が、ワラワラ集まってきた。
僕らは20人位の黒人達にあっという間に囲まれてしまった。
どうやらバスステーションには、たくさんのバス会社が入っているので客引きの競争が激しいみたいだ。
「オレのところのバスはリクライニングが付いて快適だぜ!」
「いやいや、オレのところのバスはトイレも付いているぜ!」
「こら、この客はオレが先に声を掛けたんだ! 横取りするな!」
そのうち客引き同士がつかみ合いのケンカになってきた。
「よし、やれやれ!!」
右手を上げて声援している仲間達もいる。
「まぁまぁ、抑えて抑えて……解った、じゃぁ一番安いバス会社にするよ!」
みんないっせいに料金を言ってきたので、いったい誰が一番安い料金を提示したのか全く解らない。
「一体、どこの会社が、一番料金が安いんだ!?」
せーの
こいつだ!!
黒人達は一斉に1人を指差した。
しかもさっきまで喧嘩していた奴がそいつに紙と鉛筆を渡している。
え~どういう事?
「まぁいっか、じゃぁ一番安いバス料金(1人3000クワチャ=約900円)を提示した、ここの会社に決めるよ」
すると、僕らがバスの予約を決めたとたん、みんなが一斉に拍手をしだした。
なんじゃそりゃ!
みんなグルかよ~
ルサカのバスターミナルではほとんどの旅行者は窓口のあるバス会社でチケットを購入する。
どうやらこいつらは、ターミナルの入り口で旅行者を捕まえ、窓口に行く前に自分達のバスチケットを買わせるという。
かなり巧妙だが、すごい幼稚な作戦でチケットを買わすのであった。
なんか、芸人のコントのようなお芝居に僕らはまんまとやられたのであった。
あとで窓口の人に料金を聞くと僕らが購入したバス料金と同じ値段だった。さっきの労力を考えると窓口で買った方が良かったかも(汗)。
特に僕らの場合は大人数なので計算ができないみたいだ。
しかも、釣り銭を用意する習慣がないらしく、他のお客の小銭が集まるまで待たされる……。
食事も出てくるのに時間が掛かるし、違う物が出てくることもよくある。みんな食堂車にいったん行くと2時間は帰ってこない。
僕らは逆に、会計書を自分達で作ってウェイターに渡す習慣が付いた。