ナイロビナイトの巻
夕方サファリツアーから帰ってきた僕らは、次の日の朝、宿近くの旅行会社、ファルコントラベルにエジプト行きの航空券を取りに行った。
ファルコントラベルは、旅行者からの紹介で聞いた、格安航空券を販売している旅行会社である。
ここには日本人が働いているというので利用してみることにした。
僕らは、サファリツアーに行く前に空席の確保と航空券の予約をしていた。
急ぎ旅の僕らにとって、先に飛行機の出発日を確定しておくことで、安心してナイロビでの滞在を楽しめるからである。
ファルコントラベルは、ナイロビの目抜き通りの一つママ・ンギナ・ストリート沿いにある大きなビルの中に入っていた。
その建物は常にパスポートを見せて、その場でIDカードを発行してもらわないと中に入れてくれないぐらい厳重であった。
無事にエジプトのカイロ行きの航空券を手に入れた僕らは、その日の夕方に宿を出る事にした。空港へはタクシーで約20分の距離だった。
ナイロビ空港からの飛行機が早朝4時半出発という事なので、本当は夜の1時過ぎに宿を出れば十分間に合うのだが、深夜、人気のないナイロビの街から飛行場に移動するのは危険だとみんなは判断したのだ。
空港の建物中に入って待機していれば安全と僕らは勝手に思っていたのである。
しかし、ナイロビ空港に到着すると、空港内のロビーには出発2時間前にならないと入れてくれなかった。
結局、空港の外の24時間喫茶で朝の2時過ぎまで時間をつぶすはめになった。
荷物が心配だから交代して起きておかないとダメだねとみんなで話していたが、その30分後には、オラを除く全員が爆睡していた。
おい、オラが見張り番かよ……。
時計は12時を指している。あと2時間どうやって耐えよう。
仕方がないので1人で遊べる遊びを考えた。
コイン回し。(コインをクルクルテーブルの上で回す遊び)……ヤバイ眠くなってきた。
そうだ、旅行者にもらったロンリープラネット(英語で書かれたガイドブック)でも見よう……うーんオラは英語が読めないので面白くない。
その後、何回も時計を見てしまう。あと1時間半か……。
オラは思い出したかのように今後の予定を、ガイドブックを見ながら確認することにした。
あれこれ考えているうちにようやく2時になって、空港内に入れた。
何やら前の外人達が出国カウンターで揉めている。どうやらカイロ行きの飛行機が遅延するらしい……。
なんやとー!!
結局、出発時間が解るまで空港内で待機することになった。
仕方がない、空港内のベンチで少し寝よう。でもいつ出発の放送が鳴るか分からない。
空港ロビーのテレビモニターでは、ソマリアの内戦のニュースが常に流れていた。
飛行機が遅延しているのはその影響なのかなぁ。オラは気になってまともには眠れなかった……。
結局ナイロビを出発したのは空港に到着してから18時間後のお昼前の11時であった。散々待たされたオラは疲れてしまった……。