一方、都市を一旦離れると自然豊かな土地が多く、ゆったりとした時の流れを感じることができる。
1ポンド=約240円 (2007年2月26日~3月6日)
1ポンド=現在のレート
ウェストミンスター宮殿(国会議事堂)の時計塔『ビッグベン』。15分おきに重い鐘の音を辺りに響き渡らせる
気品あふれる街ロンドンの巻
一度失った感動をパリのエッフェル塔で再びとり戻すことができたオラは、次の予定地イギリスのロンドンを目指すことにした。
フランスのパリからイギリスのロンドンへはユーロラインバス(所要時間約7時間)で移動できることがインターネットで調べて分かったので、オラは出発前日にパリのリオン駅からメトロで1時間の場所にある「Galliehi」という駅のユーロラインバスチケットセンターまで足を運んだ。そこで5名全員分のチケットを購入した。
イギリスはユーラシア大陸最後の国になるのでオラは楽しみだった。
移動途中には、フランスとイギリスを隔てるドーバー海峡を越えなければならない。僕らを乗せたバスはこの海をどうやって渡るのだろうか?
ベトナムからカンボジアへの移動の時は、メコン川をバスごと船に乗って渡ったことに僕らは驚いたが、今回の国境越えは、更なる驚きの方法で成し遂げることになったのであった。
出発当日、僕らはパリの宿を出て、12時にGalliehi駅に到着するようにした。
駅前でマクドナルドを発見したオラは、お昼ご飯の定番となったハッピーセットをテイクアウトで頼んだ。後でバスの中で食べる予定だ。
セットに付いてくるおもちゃは、旅で知り合った子どもにプレゼントしてあげるときっと喜ぶだろう♪
さぁいよいよ、ユーロラインバスでロンドンに出発だ。
やっぱ違う国に移動する時はワクワクする。イギリスとはどんな景色の国なのだろう!? はたしてどんな出来事が僕らを待ち受けているのだろうか……。
夕方近くになり、いよいよドーバー海峡が近づいて来たのだろう。
出入国審査が始まった。僕らは全員バスを降り、バスの荷台から荷物を取り出し列に並んだ。
そして恒例の荷物検査が始まった。
あっ! ようちゃんだけが別の場所に連れて行かれる。
管理官には、ようちゃんが一番、怪しそうに見えたのだろうなぁ……。と思ったとたんに、オラも別の場所に連れて行かれた。
今回は念入りに荷物チェックをされた。
エジプトで買ったドラムの中身まで調べられた。
ドラムの中にはベネチアで買ったお面を忍ばせていた。
管理官が「何だそれは、かぶってみろ!?」と言ってきた。
なんでやねん!!
今はそんな空気違うやろ!!
と思わずツッコミを入れたくなったが、気の小さいオラは、そんなことはできず、少し戸惑った顔をしていると、管理官は「へへっ、イッツジョーク!!」と、行っていいよと言わんばかりに、手で合図をくれた。
他の仲間はすでに出国審査が終わっていたようでオラが最後であった。
全員の出国手続きが終わり、僕らは再びバスに乗り込んだ。
いよいよドーバー海峡越えだ。船で行くのか、はたまた海底トンネルを渡るのか!?
バスは鉄道の車庫のようなところにたどり着いた。目の前には大きな貨物車のような列車が停まっていた。
僕らのバスは、その列車の中に吸い込まれるように移動していくではないか!?
ドーバー海峡越えは、バスを列車に乗せて移動するという、僕らの想像を絶するような方法だった。
「スゲー!!」貨物車の中はオレンジ色のライトが点っており、バスは車内ギリギリのところを進んでいく。
まるで宇宙船に乗り込んだ気分だ!!
僕らを乗せたバスは、何かのアトラクションのようにガタガタと揺られながら海底トンネルを進んだ。
イギリス側の陸地に出た時にはすでに辺りは真っ暗になっていた。
バスはそのままロンドンの中心地、ビクトリア駅に向かった。街には程よく緑が植えられていて、住宅街には貴族が住んでいそうなオシャレな家が多く建ち並んでいた。
やっぱイギリスはお金持ちの国なんだなぁ……。
20時。バスはビクトリア駅に到着した。
新しい地に降り立ってまず一番気になることが、その土地の物価である。
ロンドンの物価の高さは、オラの想像以上だった。
困ったことにパリよりも数段高いのだ。2007年2月現在、1ポンドは約240円だった。スーパーでポテトチップスを買うと2ポンド(約480円)、インドなら小奇麗なベッドのある宿に泊まれる金額だ。
ロンドンの地下鉄では、初乗りでも4ポンド(約960円)もかかってしまうので、貧乏旅行者の僕らにはかなりキツイ。
オラは地下鉄キャンセルグリーン駅前にある、ロンドンでもかなり安めの宿をネットで予約していた。
キャンセルグリーン駅は、ビクトリア駅から地下鉄で25分の道のりだ。
この『ホステル639』部屋代一人1泊6ポンド(約1,440円)は、普通の安宿でも8,000円くらいはしていたので、かなりお徳である。
この宿には一階に食堂とBARがあり、毎晩多くの欧米人達がにぎわっていた。
朝ごはんは、無料でコーヒー、紅茶、トーストが食べ放題なのだが、一度にたくさんの宿泊客が食堂に集まるため、籠にはいったパンはあっという間に無くなる。
毎朝がバトルなのだ。
「男ども、みんな起きよ!! 朝ごはん無くなるで!!」いつも早起きのマッキーが僕らを起こしに来る担当だ。
オラは毎回、お昼のお弁当用にトーストを二枚ほど余分に取り、ティッシュに包んでポッケに仕舞い込んでいた。
宿から観光スポットの多いロンドンの中心地に行くにはやはり地下鉄を使うことになる。
毎回電車を乗り換える度に4ポンドも支払うのは金銭的に辛い。
キャンセルグリーン駅でお得な切符は無いのかと探していたら、乗り放題切符が5・1ポンド(約1,224円)で販売されているのを発見した。
それをうまく使えば経済的である。この宿を拠点に3日間の滞在を決め、僕らはこのチケットで地下鉄を乗りまくることにした。
ロンドンの観光スポットには、世界有数の展示数を誇っている『大英博物館』(入場無料)や、国会議事堂にある巨大な鐘楼『ビッグベン』・テムズ川に架かる『タワーブリッジ』などがある。
特に夜に見たタワーブリッジは、その古風なデザインが、まわりの建物や景色とマッチしていて、こっちまで優雅な気分にさせてくれるのであった。
路線は全部で12路線あり、それぞれが色分けで区別されているので分りやすい。
通常の切符は、一区間でも4ポンドの料金がかかるので、トラベルカードと呼ばれる乗り放題の切符を使うとよい。
1日券、7日券、1ヶ月券などがあるり、1日2回~3回以上乗車する場合、こちらを利用する方が有利である。
最近ではオイスターカードという便利なカードが発行されている。
日本のJRで販売されている『ICOCA』や『SUICA』のように、事前にカードを購入し、読み取り部に触れるだけで改札を通れる。
割引料金が適用されるため、通常のチケットを購入するよりも格安となることが多い。ロンドン市内の地下鉄、バス、一部の列車で利用可能。