凍死寸前のバス移動の巻
オッキーとアコちゃんに見送られながら、僕らはカトマンドゥを出発した。
ネパールの長距離バスは思った通り超おんぼろバス。
リクライニングが壊れている座席もあった。
おまけにバスのサスペンションが弱っているせいか、ガツンガツンと身体に振動が伝わってくる。
それでも僕らを乗せたバスは暗闇の中をどんどん走っていった。
夜が更けるにつれバスの気温がどんどん下がってくる。
暖房が効かないため、身体もどんどん冷えてくる。
しまった!
バックパックはバスの屋根の上に積んでいるため、これ以上服を着込めない!
オラはバスに乗るとすぐに靴を脱ぐ癖がある。
あまりにも寒いので靴を履こうと思ったが、靴が見当たらない。
道が悪いので、どうやら前の方の座席まで転がっていったみたいだ。
仕方がないので、オラはビニール袋を足に巻いて暖を取った。
しかもバスの窓が走っているうちに勝手に開いてくるので寒くて眠れやしない。
窓と窓との間にティッシュペーパーなどを積めて対処するが、隙間から風が入ってくるのでどうしょうもない。
ブルブルブル……。
このままでは凍死してしまう。
早く朝にならないかなぁ……。
時間が経つのはやたらと遅く感じる。
結局、夜は寒さで一睡もできなかった。
しばらくすると待ちに待った朝陽が昇ってきた。
これでちょっとはマシになるだろうか!?
少し安心した気分になった。
しかし、僕らに更なる不幸が襲ってきた。
ブス・ブス・ブスッ
なんかバスの調子がおかしい。
こんなところで止まらないでくれ……。
願いも虚しく、僕らの乗ったバスは無残にも故障で止まってしまった。
バスの運転手は、このくそ寒い中、全員外に出ろという。
僕らは仕方無しにバスを降り、焚き火で暖をとって、なんとか寒さをしのいだ。
こんな長時間、寒い思いをしたのは生まれて初めてだ。
しばらくすると、バスの運転手に、もうすぐ代わりのバスが来るから、それに乗り換え移動しろと言われた。
しかし来たのは朝の通勤ラッシュの様な満員のローカルバスであった。
今度はぎゅうぎゅう積めでのバス移動である。
でもオラは今までの寒さを考えると逆に幸せを感じた。
そしてそのバスはお昼11時にネパール国境(カカルビッタ)に到着したのであった。
日本語では「行者」「苦行僧」などを指す。
現在、インドやネパールに、400~500万人のサドゥーがいるという。
タルチョは、ただの飾りではなく、
そこで暮らす人たちの願いが込められています。
人々が幸せでいられますように。
大きな災害がおきませんように。
たくさんの実りをいただけますように。
病気などを患うことなく、元気で過ごせように。
そして、「ブッダの教え」が、遠くまで届きますように。