仲間同士の旅に対する温度差の巻
昼下がり、宿のプールサイドでひとり、物思いに耽っているマッキーがいた。
オラは、どうしたのかと思い、ポンと肩を叩いた。
マッキーは、オラに背中を向けたまま 「もう旅が楽しくない……。」 と呟いた。
僕らの世界一周は秋に出発し、翌年の春に帰ってくる予定だった。
マッキーは春に大学へ編入するまでの期間を利用して旅に参加していた。
それに加え、おじいちゃんの一回忌のために一度日本に帰らないといけなかった。
日本へはエジプトから帰る予定にしていたが、インドでの遅れが思っていた以上に予定をずらした。
アフリカに入ってからも、更に思わぬ足止めのため、エジプトへの到着日がどんどん遅くなっていた。
マッキーは帰国予定日まで1ヵ月を切っていたので僕らのエジプト入国が自分の帰国日に間に合わないのではないかと不安を募らせていた。
オラは、今の状況じゃ旅の日程にズレが生じるのは仕方がないと伝えるが、マッキーはイライラをオラにぶつけてくる。
マッキーは旅のスケジュールに説破詰まらせている自分と、旅の日程に追われていない他のみんなとの温度差を感じ、旅を続けるモチベーションが下がっているみたいであった。
オラにだけは共感して欲しいと思っているようだが、オラは旅のリーダーなので、マッキーの気持ちとみんなの気持ちを平等に考えないといけない。
オラは一旦、みんなの居る部屋に戻り、マッキーの気持ちをうまく伝えることができるか分らないが、オラは自分なりに感じた彼女のリアルな気持ちをみんなに伝えた。
仲間達は「そうだねぇ……。」と言っていたり、「旅を進めて行くのは努力するけど行きたい所に行けないのは辛い」と言っていたりしたので、オラの中ではちゃんと伝わったのかなぁとモヤモヤした気持ちがあった。
翌朝、あけちゃんから手紙を手渡された。
いつも体調不良でみんなに迷惑掛けてマッキーに対してもごめんなさいという気持ちで一杯のようだ。
旅のメンバーの一員としてもっと役に立てるようになりたい。
そういう内容の手紙であった。
あけちゃんは、自分の病気のせいで旅が遅れていることに申し訳なさを感じているようだ。
オラは昨日病人のいる前でマッキーの話をしたことを心苦しく感じ、逆に申し訳ないなぁと思った。
仲間での旅で一番大事なのは、互いに歩み寄ってみんなが楽しめるように考えながら旅を続けることである。
オラは旅の苦労や感動をみんなで分かち合いながら仲間の絆を深めていくことを旅の目的だと思っている。
そのためには、みんながグループの目標を認識して旅を進めていかないとうまくいかない。
グループの目標は、春には世界一周を無事に達成して帰国することである。
なので、オラは計画をしっかり立てて進めて行かないと、メンバー全員が楽しむ事はできないのだと思った。