この国と南隣のジンバブエとの国境に流れるザンベジ川には、世界三大瀑布(ナイアガラの滝、イグアスの滝、ビクトリアの滝)の一つと言われる「ビクトリアの滝」がある。
アフリカを代表する象・カバ・キリンなどの動物なども多く生息し、大自然に恵まれた国である。
1クワチャ=現在のレート
1クワチャ=約0.3円 (2006年12月20日~27日)
世界一の激流でラフティングの巻
ナミブ砂漠ツアーから宿に帰ってきた僕らは、翌日ウイントフックを18時に出発するバスに乗り込み、ザンビアのリビングストンへと向かった。約20時間の移動である。
ザンビアとジンバブエの間にはザンベジ川が流れており、その国境を隔てたところに世界3大瀑布のひとつ『ビクトリアの滝』がある。
幅1800メートル、高さ約100メートルの巨大な滝から吹き上がる水しぶきは、およそ150メートルにものぼるという凄い滝である。
ザンビア側の国境がリビングストンタウンでジンバブエ側の国境がビクトリアフォールズタウンである。
僕らのバスがリビングストンに差し掛かった時、遠くの方で水煙が立ち昇っているのが見えた。
来た~!!
オラが夢にまで見たビクトリアフォールズだ!!
そしてこの旅で絶対挑戦したかった世界ナンバーワンの激流、ザンベジ川ラフティングのできる場所である。
ザンベジ川のラフティングコースは、ビクトリアの滝から集まった川の水が、狭い谷間に一気に流れ込み、渦を巻くような激しい流れとなるハイレベルなコースである。
ラフティングボートで下れる最高レベル、グレード5を超える超上級コースに僕らは挑もうとしていた。
リビングストンの街ではあらかじめネットで予約していた『ジョリーボーイズ』1人1泊42000クワチャ(約1260円)という宿に泊まった。
ラフティングは宿のレセプションで予約し、その翌日の朝7時にラフティング会社のバスが迎えにきてくれた。
ラフティングの事務所で装備に着替え(水着の上にライフジャケットとヘルメットを装備)セーフティートーク(安全に下るためのお話)の後いよいよ、川に下っていくのである。
ザンベジ川はまさにジャングルの中を荒々しく流れる世界一の激流であり、オラの気持ちを奮い立たせるのには十分な舞台であった。
ラフティングのコースは瀬のポイントが№1~№23まであり、そのほとんどが、グレード4~5以上の激流である。
しかし、まだこの川の恐ろしさを知らないみんなは、未経験のグレードの川に大はしゃぎであった。
オラは、目の前でぶつかり合う激しい波の流れを見て、自分のラフトガイドとしての血が騒ぎ出しているのを感じていた。
まず、僕らジャパニーズチームのボートのガイドの名前は『シンバ』ムキムキのドレッドヘアーのガイドである。
通常ラフティングボートは、ガイドを含めて8人乗りである。
しかし僕らのボートは7人乗りであった。
メンバーは7人なので全員は乗れないため、ダイタが自ら欧米人グループのボートに乗ると言った。
まず、№1の瀬は『the boiling pot』である。
ここは、ビクトリアの滝ツボから一番近い瀬で、滝から流れ落ちる全ての川の水がここに集まり、壁にぶち当たった水がボイル状に沸き上がっている場所である。
当然ここを通る全てのボートはお決まりのようにこのボイル状の波によってひっくり返されるのだ。
ボートに乗る位置は、左前から菊ちゃん、オラ、マッキー、右前からようちゃん、あけちゃん、ぷる君の順番であった。
「みんなガンガン漕いで!!」
オラは自分がガイドをしているかのように必死でみんなに支持をしていた。
僕らのボートがボイル状に湧き上がった瀬に突入した瞬間、ボートの左側が浮かびあがり、90度くらいまでボートが横に傾いた。
オラが必死にボートのへりによじ登ったおかげで、なんとかボートはひっくり返らずに済んだ。
しかしみんなはボートから落ちてしまいオラと菊ちゃんとガイドがボートに残った。
他のメンバーはボイル状の波にのまれ、水中深く沈んでいった。
水面に誰かのパドルが見えたのでオラは引きずり上げてみた。
すると、パドルをしっかり握ったマッキーが、ボートの底から浮かび上がり、一番に救出完了。
他のみんなも次々に浮かび上がってきた。
ボートに乗り込んだメンバーもレスキューに加わり全員無事に救出した。
初めて激流で流されたあけちゃんは、いきなりの出来事にビックリ仰天!
菊ちゃんに向かって激怒した。
「なぜ、落ちた瞬間助けてくれなかったと!! 彼氏なんやから私を一番に助けるべきでしょ!!」
いやいや、全く素人の菊ちゃんが席の離れているあけちゃんを落ちた瞬間に助けるのは不可能である……。
次に僕らのボートは他のボートから落ちて流れてくる人たちを次々とレスキューしていった。
流れてきた外人のお姉ちゃんはなんと、ビキニのヒモが緩んで、おっぱいがライフジャケットからはみ出した状態で上がってきた。
ボートの上に上がってきた後も、はぁはぁ言って、自分の大きなおっぱいがポロン状態である事に全く気づいていない。
オラは、ようちゃん、菊ちゃん、ぷる君の方を見た。
ようちゃんはニコニコしながらおねぇちゃんをチラチラ見ていた。
菊ちゃんもあけちゃんの方を気にしながらもチラ見を繰り返していた。
ぷる君は真剣な眼差しで防水カメラをしっかりにぎり、お姉ちゃんの胸をガン見していた。
どんどん他のボートから人が流れているというのに、この男連中達は全くレスキューに集中していない。
やはり、うちの男性メンバーには、激流の凄さより、お姉ちゃんのおっぱいの刺激の方が大きかったようだ……。
続いて№2、№3の瀬と進むたびにレベルはどんどん高くなっていく。
そして、いよいよグレード5以上の激流に差し掛かった。
その落差はビルの3階の高さはゆうに越えるビッグフォールである。
ボートがブラックホールに吸い込まれるような勢いで津波のようなフォールに突っ込んで行った。
さすがのオラもこれはやばいと思い、大声で叫んだ!
「みんなつかまれ!!」
みんなはボートの中に身体をうずめ、しっかりとボートに掴まった。
全長4mの巨大なラフトボートがいとも簡単にフォールでもみくちゃにされた後、波に押し出され、空中に吹っ飛んだ!
ボートの向きが良かったのと、みんながしっかり掴まっていたおかげでボートは無事クリアー出来た。
「スゲー、やっぱスゲー!!」
みんなは、ラフティングの凄さ楽しさをここで知ったようだ。
しかし、あけちゃんだけは、もう怖くてボートを漕がずにロープを握ったままの状態。
№5.6をなんとかクリアーし、№7の瀬に差し掛かった。
ガイドのシンバが「この瀬は流されるととても長いぞ」と言った。
はっきり聞き取れた。
こういう時は何故か英語がよく解る。
ボートが、大きな波によって右に傾き、左に傾き、最後はボートの先端が頭上を覆いかぶさり、ボートは、とうとうひっくり返ってしまった。
全員が水中に投げ出された瞬間、身体だけが勢いよく水中深くに引きずり込まれる。
うげー……。ゴボゴボゴボッ
オラは水中でもみくちゃにされた。
まるで巨大な洗濯機の中でグルグル回っているような気分であった。
もうそろそろ水面に浮かび上がるのじゃないかとじっと水中で我慢していたが、なかなか水面に出ない。
浮かび上がるどころか、だんだん視界が暗くなる。
更に深く沈んでいっているのだ。ライフジャケットの浮力が、激流の水圧によってあきらかに負けているのが分かった。
さすがに息が続かなくなってきたオラは自力で水面めがけて泳いだ。
やっと水面に出られたが、次の波でまた水中へ。
しばらくしてレスキューカヤックに助けられた。
ボートから離れ流されていったみんなは、レスキューカヤックや他のボートに助けられた。
しかしあけちゃんの姿が見つからず菊ちゃんが非常に心配した。
しばらく経ってから、レスキュー用のカヤックがあけちゃんを連れてやってきた。
あけちゃんは、助けてもらったカヤッカーに向かって叫んでいた。
「もう嫌! この川は私を殺す。あなたも私を殺そうとしている」あけちゃんは、必死な状況にもかかわらずちゃんと英語で泣き叫んでいた。
通常カヤッカーが流れた人をレスキューする時、カヤックの先端か後ろに付いている取っ手を救助者に握ってもらうのだが、あけちゃんは、カヤッカーの腕を掴みにいこうとしたらしく、カヤッカーに逆に腕を跳ね返されたらしのだ。
そりゃ、カヤッカーも自分の身の危険に影響することは絶対させないので冷たく腕をはらわれるのは当然の行為である。
その後、№10の瀬はグレード6。
たぶん人が落ちると息が続かないくらい水中に揉まれることになる危険な激流なのでこの日、お客さんは全員下らずに陸を歩いて下った。
そして一旦お昼の休憩だ。
ガイドのマネージャーにオラが日本でラフティングの会社を運営していることを話すと午後からボートを操船させてくれると言ってくれた。
なんとこの世界一の激流の川でガイドをさせてくれると言うのだ。
ラフティングにおける「ガイド」の役割とは、激流を制覇するために同じボートのお客さんとのコミュニケーションをはかり、安全配慮も心がけながら舵取りをする役目である。
そんな重要な役割をこの川でさせてもらえるなんて凄く感激であった。
午後のツアーが始まり、オラはダイタとボートを交代し、ガイドのチャンボにサポートしてもらい欧米人グループのラフトガイドをさせてもらった。
ボートがひっくり返ったらどうしようかと内心はドキドキであったが一度も転覆せずにゴールできたのでオラの中では大満足であった。
他のガイドたちにも「グッジョブ」といわれ拍手された。
チャンボにいつかここでトレーニングをさせてくれるかと聞くと「もちろんだ。いつでも来い」と言われ、オラはチャンボと握手を交わしザンベジ川を後にした。
オラはもう大満足、もうこれだけで、この旅の目標を達成したと思ってしまった。
ゆっくり寛げる広い建物スペースで、プールやBarや共同キッチンなどバックパッカーの心理をついて上手く作られている。
なんとネットで予約すれば、ザンビアのビザ25米ドルが無料になるという特典付きで、ビクトリアフォールズ(約8キロ)への無料送迎も付いている。
料金一人 8米ドル~