ザンジバル島で釣り体験の巻
翌朝……なんと、6時半に目が覚めてしまった。
「やべ~遅刻だ!」 漁師は、もう港にはいないかもしれない……。
僕らは慌てて港に走った。
しかし、港に行ってみると暇そうに仲間達と喋っている漁師を発見!
僕らは早速、漁師に交渉してみた。
するとあっさり交渉成立。
1人12,000tsh(約1176円)で船を出してくれることになった。
やったぁ、じゃ早速出発しよう!
漁師のおやっさんはすぐに船の準備 (釣り道具や餌も用意) をしてくれ、僕らは沖に出た。
昨日とは打って変わって、青々とした空が広がっていた。
海の色もブルー一色。波も穏やかで、清々しい潮風が流れていた。
遠くには小さな島や、帆掛け舟などが浮かんでいて僕らはちょっとしたクルージング気分を味わっていた。
「さぁ、ポイントに着いたぞ!」船のおやっさんは、手巻きの釣り道具を僕らに差し出した。
そして餌になる“いわし”の体をナイフで3等分くらいに切り分け、仕掛けの針に引っ掛けると、スルスルと水中深く沈めていった。
おやっさんは、僕らの方を見ながらこうやって釣るんだと言わんばかりに、底についたと思われる仕掛けを片手分くらい巻き取ると、今度は指に手グスを引っ掛け、上下にチョンチョンとあおり、魚を誘うような仕草をしだした。
僕らも餌のいわしを針に付けて、海にポチャン……。
おやっさんと同じように手グスを指に引っ掛け上下にチョンチョン。
すると、いきなりアタリがきた!
やったぁ、ようちゃんがすばやく巻き取り一匹目ゲット!
見ると20センチ位のクエのような魚だった。
その後、オラとぷる君も続けてヒット! なんと、入れ食い状態。
あっという間に、釣った魚を入れたバケツがいっぱいになってきた。
よし、大漁!! みんなの分も、十分ありそうだ。
2時間程の船釣りを楽しんだ僕らは、大喜びでみんなの元へ……。
他のみんなも、まさかそんなに釣れると思っていなかったらしく、かなり驚いていた。
そして、氷づけにした釣った魚を持ってザンジバル島を後にし、めぐみちゃんの待つダルエスサラームの宿へ戻った。
部屋には、みんなを待ち遠しそうにしていためぐみちゃんがいた。
「わぁーみんな、待ってたよ!」
めぐみちゃんに、大使館に行った結果を聞いてみると、無事新しいパスポートをゲットできたようだ。
イエローカードやビザの証明も、公安のポリスレポートを見せれば次の国にも移動できることとなった。
バンザーイ、これでまたみんなで一緒に旅ができる。
みんなは、肩を組んで喜んだ。
「じゃ、今日は僕らが釣った魚でお祝いだ!!」
めぐみちゃんに釣った魚を見せると、ビックリして一緒に喜んでくれた。
さて、この魚をいったいどう調理する? 最悪、焚き火できるところでも探すか! とも思ったが、一応、宿の人に聞いてみることにした。
「向かいのレストランに相談してみたらどうだ?!」宿の主人が言った。
僕らはさっそく向かいのレストランに行き、ウェイターに釣った魚を調理してもらえないか頼んでみた。
ウェイターは厨房に入って直接、コックに相談しろと言ってきた。
コックさんに魚を見せると、店の裏にまわれと言ってきた。
店の裏には、野外に倉庫や大きな冷蔵庫があり、下準備をする調理場があった。
コックさん達は早速、僕らの釣った魚を調理し始めた。
そして倉庫から椅子を出してきて僕らに調理する現場を見せてくれた。
水道で魚を綺麗に洗い、ウロコやはらわたを取り覗き、慣れた手つきで魚をどんどん捌き、スパイスをかけて下準備完了。
コックさんが、後は、店のテーブルで待っていろと言う。
僕らは、大喜びで、店の表に戻った。
しばらくして、ジューっと音が聞こえてきて、とうとう僕らの釣った魚料理がテーブルに運ばれてきた。
唐揚げ・煮物など、わざわざ数種類の魚料理に仕上げてくれた。
スゲー、超うまい!
やっぱ、自分たちで釣った新鮮な魚は美味しいなぁ。
この魚料理にライスに調理代をつけて、1人たったの95円。
ありがとう、コックさん!
「いてて~」ようちゃんは慌てすぎて魚の骨がのどに刺さってしまった。
タンザニアの飲食店は何かとトラブルが多かったが、ここだけは別格、なんていいレストランなのだろう♪
夜のレストランで食事をしている時にも停電になったことがあった。
ある日、ホテル内がいきなり真っ暗になり、部屋の外付けのシャワールームからあけちゃんの悲鳴が聞えてきた。
髪の毛にアワアワをつけたままのあけちゃんが、いきなり男部屋に入ってきた。
「ローソク貸してー!!」