36・みんなで世界一周計画 インド編再び アフリカ行きのチケット探しの巻

インド ムンバイ
1995年、英語での公式名称が「ボンベイ」から、現地語での名称「ムンバイ」へと変更された。

ムンバイはインドの商業の中心都市で、多くのインド企業の本社や、外国の金融機関の支店などがある。
インド経済の大部分を担っているため、事業機会や高い生活水準を求め国内各地からインド人が集まってくる。

一方スラム街に行くと、道端に木を立て、ビニールシートを張って住んでいる人々もいる。
オフィス街とスラム街とが混在しているムンバイは、そのため貧富の差が大きい町に思えた。

牛を全く見かけなくなったムンバイの綺麗な町並み

牛を全く見かけなくなったムンバイの綺麗な町並み

インドを代表する高級ホテル『タージマハールホテル』 

インドを代表する高級ホテル『タージマハールホテル』 

 

植民地インドのシンボルであるインド門

植民地インドのシンボルであるインド門

ムンバイのスラム街は住居が密集していて人口密度も非常に高い

ムンバイのスラム街は住居が密集していて人口密度も非常に高い

   

アフリカ行きのチケット探しの巻

マザーハウスのボランティアに行ったその夜、僕らは、コルカタからムンバイに出発した。
次の移動地ムンバイでは、二人の女性メンバーとの合流することになっていた。

コルカタ(ハウラー駅)を21時40分に出発し、そこから約36時間かけた列車の長距離移動で、ムンバイのチャトラパティ・シヴァジ・ターミナス駅(通称CST駅)に翌々日の10時に到着した。

ムンバイに到着して僕らはびっくりした。ビ
ルが立ち並ぶ大都会だったからである。

日本から直接来ていたら何も驚くことはないのだが、トタン屋根の建物が立ち並び、牛の糞まみれの道路だったインドの街の風景とは、かなりのギャップを感じたからである。

昔、イギリス領であったこともあり、英国風のお洒落な建物がそこら中に立ち並んでいた。
牛の姿が全く無く、牛糞のない道路はとても綺麗に感じた。

さて、この後の予定は、まずムンバイ空港から南アフリカへの格安航空券の情報を得ることが先決であった。
だがその前に腹ごしらえが必要だ。

僕らはムンバイCST駅に荷物を預け、お昼に駅前のマクドナルドへインド限定『マハラジャバーガー』を食べにいった。

ポテトとドリンクのセットで163ルピー(約457円)。
インドでは宗教上あまり牛を使わないので、バーガーの中身は鶏肉を使っていた。
香辛料を効かせてスパイシーな味わいに仕上げたバーガーであった。
味はまぁまぁ美味しかった。
  
昼食後は、次に向かう南アフリカへの格安往復航空券を探すことにしていた。
ムンバイから南アフリカには片道航空券では入国できないことになっているので、往復の格安チケットを購入することに決めた。
ちなみに帰りのチケットは必要なくなるので放棄するのだ。

マクドナルドの前で遊んでいた10歳くらいの現地の子ども達に旅行代理店の場所を尋ねてみると、ついておいでと言わんばかりにスタスタと歩き出し、先導してくれた。
最初に連れて来てもらった旅行代理店で航空券の値段を聞いてみると、なんと18万円だという。

オラは8万円位を予想していたので、思わず「高けぇよ!」と叫んでしまった。
おそらく、外国人観光客に不当な金額でチケットを売りつけ、地元の子供たちに小遣いを渡すというシステムを取っているのではないかと思った。

その周辺は、所狭しと旅行代理店の並ぶ専門街の場所にも関わらず子供達は、他の旅行代理店には目もくれず、一番奥のそのお店に、真っ直ぐ僕らを連れてきたからである。

ここは高過ぎると思ったので、近くの違う旅行代理店にも値段を聞いてまわることにした。
ここでは1人12万円まで下がったので、もっと探せば安いチケットが手に入ると思い、いろんな旅行会社をみんなで手分けして探すことにした。

日本からインドまでの長い道中で、おたがいのチームワークは、かなり自信がついてきていた。
この時7名だった僕らは、3チームに分かれ、一番安いチケットを探すため、みんなで手分けして行動した。
そして夕方17時に再びマクドナルド前に集合を決めた。

結局この日の最安チケット情報はあけちゃんと菊ちゃんの見つけてきた10万円代のチケットだった。
やはり頑張ってみんなで捜した甲斐あって目標金額8万円にだいぶ近づいてきたと仲間で喜び合った。

そしてこの日は、インド門の近くの『ツーリストハウス』一人一泊193ルピー(540円)の宿を拠点と決め、翌日もチケット探しをすることにした。

翌日の朝、航空チケットを最安で販売している旅行会社が見つかった。
オラが宿の人に頼んでいたのである。

ムンバイからヨハネスブルグ間の往復チケットで一人75,600円。
これは思っていた金額よりも安かったのでかなり大満足。

さぁ、後はふたりの女性メンバーとの合流である。
美少女みえちゃんと天然キャラのめぐみちゃんだ。

二人は、ムンバイから450キロ離れた、インドのリゾート地ゴアで、僕らの到着を待っていたのであった。
 
久々の合流組にみんなは、ワクワク! 
総勢9名でのアフリカ旅行になるので、どんな旅になるのか、今から楽しみだ! 

新たな女の子の合流に、男性メンバーのテンションもやたら高い!
ふたりはそれぞれ都合があったとのことで別々にムンバイにやってきた。

みえちゃんとはインド門の前で合流、めぐみちゃんは宿で直接合流した。
そしてその夜、宿で歓迎会を行った。
二人のゴアでの話や、僕らの旅の話で盛り上がった。

そして翌日、ムンバイの街で偶然知り合った日本人男性にお寿司をおごってもらう約束をしていた。
 
日本人の彼とは菊ちゃんとあけちゃんが南アフリカ行きの格安航空券を探している時に、偶然知り合い、話しがはずみ仲良くなったという。

その彼の名前はヒサさん。
インドでは5本の指に入る豪華ホテル『タージマハールホテル』で働いている。

テレビに出ていた料理の鉄人のお店で料理長をしている人であった。
なんと僕ら9名全員に、食事をおごってくれると言うのだ。

インド料理に飽きていた僕らは、大喜びで彼が招待してくれたレストランに向かった。
 
僕らが招待してもらったレストランは日本でもめったに行けないような超豪華レストランだった。
貧乏バックパッカーの僕らにはとうてい似合わない食事が並んだ。

喉をカラカラにしていた菊ちゃんが、まずシルバーの器に入った水を飲もうとした。

「菊ちゃん、飲んじゃダメ! それは、フィンガーボールと言って、手を洗う器だよ!」はっと気づいたあけちゃんが、慌てて言った。

菊ちゃんはあんぐりと口を開けてあけちゃんの方を見ていた……。

ヒサさんは、その光景を親しみの表情で眺めていた。
彼は久しぶりに日本人と仲良くなれて嬉しかったようだ。
僕らもこんなにたらふく料理を御馳走になって、超ラッキーな一日であった。

翌日僕らは、南アフリカに移動するための航空チケットを旅行代理店に取りに行った。
しかし、美少女みえちゃんは、アフリカに行くのを迷っていたが、やはり考えた末インドに残ると言った。
え~、そんなぁ……。

せっかく可愛い子が合流したのに非常にもったいないと思った。
 ぷる君とオラはみえちゃんを引き止めるために必死で説得を試みた。

「インドなんか、ボッタクリ多いし、全然いいとこじゃないし辞めといた方がいいよ!」

「そうそう、オラなんか一日に3回も牛のうんこ踏んだ事もあるし……。」
 
でもみえちゃんにとって、ひとりで自立し、世界のどこでも自分の力で旅をしてみたいという要求が生まれてしまっていたようだ。

美少女みえちゃんと天然キャラのめぐみちゃんは日本からムンバイに飛んで、ゴアで僕らの到着を待っていた。
その間にみえちゃんは、ゴアでインドの魅力を知ってしまったようだ。
そして考えた末インドに残ると決断した。

「そうかぁ、仕方がないなぁ。
人にはそれぞれの生き方、考え方があるもんね」 残念だが諦めることに……。
 
更に、めぐみちゃんもみえちゃんにつられ、直前でチケットをキャンセル。

なんだそりゃ!?

みんなはズッコケた。

けど、めぐみちゃんは、元々インドが大好きで、みえちゃんの決断に刺激されもう少しだけインドに滞在したいと思ったようだ。

彼女は、ジンバブで僕らと合流し、イタリアまで一緒に行くこととなった。

短かったが、みえちゃんとめぐみちゃんとお別れして僕らはムンバイの街を発つ事にした。

インド門の前でみえちゃんと合流  

インド門の前でみえちゃんと合流  

   
 
コラム 格安航空チケット
南アフリカには片道チケットでは入れないので、往復で買うか、他国に出るチケットを買わないといけない。

他国といっても同じ大陸にあるケニアやエジプトではダメだと言う。 ロンドンまでの片道チケットを持っているのなら南アフリカに片道でも入れると聞いていたのだが、やはり値段や空港でのチェックの厳しさを考えると、往復で買うのが無難だと僕らは思った。

                 

コラム マッキーの日記  バクシーシーって……
コルカタでは、マザーハウスへボランティアに行く途中、スラムを通り抜けた。
すると子ども達がワイワイと集まってきた。

握手をして来たり、意味も無くハイタッチしてきたり、捕まえた鳥を見せて驚かしてきたり、ワラワラと集まり、彼等から積極的にドンドン接触してくる。

その子ども達は、超子どもらしくって可愛い♪ 目もキランキランしていた!
そんな彼等の住んでいる場所は、日本で言えばゴミ処理場。

紙類のゴミ山で何か分別作業らしきことをしていたけどボランティアの人達が来ると集まってくるという。
彼らは決してバクシーシーは求めて来ない。

施設にコッソリ侵入して果物をつまみ食いしようとするが、スタッフに「コラー!!」って追い掛けられ、キャッキャ言いながら笑顔で逃げていった。

イタズラっこの表情だ!
悪ガキ大好きな私には、そんな彼等が又々可愛く見えてしまう。

それから超長時間列車に乗りムンバイに着いた。

ムンバイに着くといつもの様にバクシーシーを求められる。
バクシーシーの求め方は様々で、やっぱ子どもが多い。

幼い弟を抱っこした10才くらいの女の子だったり、列車で子どもが乗客にバクシーシーを求めている間、入り口で母親がコッソリ待ち構えていたり……。

「カースト」制度の時代、物乞いも一種の職業だったとかも聞いたりした。

更に物乞いをするために赤ちゃんを借りるとかも聞いた。
見たり聞いたりした話から、バクシーシーに日本でいう募金の様な感覚にはなれなかった。

しかも私は日本でも簡単に募金しない。
募金詐欺の話とか聞くしホントに自分が渡したい人でないと自分が傷付きそうで。
そして何よりも私がバクシーシー拒否をするのは、頑張ってないよーに思ってしまうからだ。

そりゃ社会環境がぜーんぜん違うって言われたらおしまいなんだけど
今まで看護の場面で多くの障害を持っても懸命に生きている子ども達に出会ったこともあって、
この人達は楽をして逃げている、って思ってしまうのだ。

その逃げを助長させるようでどうしても助けられない。
そんな思いをめぐらせムンバイを歩いていると……。

子ども「バクシーシー」

来た、嫌だ

子ども「じゃあ、これ」

お腹を摩りながら店頭のお菓子を指差す
何!? 私でも高くて手を出してないチョコパイが食べたいだと!
ぜーたい嫌だ。

チョコパイに気づかないふりをして歩き出すと

子ども「エー食べたい」

私の足にしがみついてくる。
お姉ちゃんもそんな(高級)お菓子ここ何ヵ月食べてないっちゅうねん。
ダメダメ可愛い顔しても。

次の日もおねだり軍団に遭遇。
今回はようちゃんがターゲットだ。

ようちゃん「買わない、さっきまで楽しそーに遊んでたやん」
いざぽんがアイスを買う時もおねだり軍団はやってきた。

子ども「コレ食べたい」
いざぽんのアイスよか高いやん。

いざぽん「アイスはボクの主食やねんで」

最終日おねだり軍団は、外国人さんにお菓子を買ってもらっていた。
こんな作戦成功するんや……。

お昼菊ちゃんとあけちゃんが知り合った寿司職人の方に食事をご馳走になった。
そのときバクシーシーの話がひょんな事に出た。

「あーこの辺の子どもにはお金あげない方がいいよ。

賭事に使う小遣い稼ぎを彼等はしているから」
寿司職人さんがそう教えてくれた。

子ども達が外国人で稼いで賭事で遊ぶ……。

そんな社会なんだ……。

あんな可愛い顔の子ども達が外国人から騙したお金でするのか……。

凄く寂しい気持ちになった。
私的に、バクシーシーと言いつつお菓子をねだる子どもと絡むのがチョッピリ楽しくもあった。

きっと彼等はバクシーシーで得たお金を賭事に使うという事になんの意味も持たずにいるのだと思う
良いとも悪いとも教わってないのだろう。

誰かがバクシーシーとして渡す優しさはコルカタの子ども達に届いて欲しいと思った。
けど彼等はお金を求めなかった。

ムンバイのおねだり軍団はコルカタの子ども達に比べると格段に身なりが綺麗だった。
彼等はお金や自分の食べたいお菓子を求めてきた。

でも、こんな事はインドだからって訳じゃなく日本だってあるし。
難しいなぁ……。


                 

さよなら……めぐみちゃん&みえちゃん 

さよなら……めぐみちゃん&みえちゃん 

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ABOUTこの記事をかいた人

2016年11月~2017年4月までの約半年間、仲間を募って中南米一周してきました。 夏のシーズンは、アウトドアクラブNuts(ラフティングカンパニー)の代表を務めています。オフシーズンはアウトドア系社会人サークルのイベント(ボードツアーなど)行っています。また、ラフティングトレーニングやアウトドアの遊びの研究をするため、海外に出かけたりしています。 旅やアウトドアに興味がある方はぜひお友達になりましょう♪