日本への帰国
イエローナイフ空港を飛び立ち、バンクーバーの空港へとやってきた。
ここでようちゃんとはお別れだ。
このあと彼はジャマイカへ行くらしい……。
「お世話になりました。ほんとは旅の仲間全員でオーロラを見たかったなぁ。またいつか、みんなでオーロラを観賞できたら最高やね!!」そう言って僕らを見送ってくれた。
ようちゃんと別れた後、「この旅で一番ようちゃんが、旅の男って感じでカッコよかったよなぁ……」とマッキーとふたりで語った。
帰国する僕らは、ハワイ経由の飛行機で戻ることになった。
ハワイ空港ではやはり日本人が多かった。本来なら日本人を見ると安心するものだと思ったが、なぜか怖いと感じてしまった。
これまでフレンドリーだった外国人に比べ、控えめな日本人に温かみを感じないからか?……。
いや、そうではない。間違いなくオラを冷たい視線で見ていた。
理由は……。
みんなはTシャツか、アロハシャツに短パンの格好なのに、オラはこれから雪山にでも登るかのような格好をしていたからである。
クーラーのよく効いた飛行機に乗っていたのでつい着替えるのを忘れていたのだった……。
─── 日本に帰国して、また平穏な日常がいきなり始まった。
今回、世界一周を達成し、体験したことを物語りで例えると……。
「西遊記のような旅であった!!」
天竺を目指すため、不思議な世界で仲間と共に旅をしてきた感覚。
色んな体験やトラブルもあった。たった半年の旅だったけど、10年分くらいの経験をした気がする。
そして何よりも、仲間と共に世界の絶景を見たり、いろんな感動をわかち合えたりしたのが最高に良かった。
この感動を、もっともっと沢山の人達に伝えていきたいと思った。
現実に戻った今、したい事、やるべき事は他にも沢山あるが、オラは世界一周計画をここで終わせてはいけないと思った。
世界は想像以上に広大だ。
わくわくするような未知の国はまだまだたくさんある。
もう一度500円貯金を復活し、世界旅行第二弾を計画しよう。
そう決断したのであった……。
オラは半年間共に旅してきた、バックパックの中身を自分の部屋でガバっと広げた。
不要な物は処分しようと思ったからだ。
しかしほとんど捨てる物はなかった。
半分焼け焦げたガイドブックも出てきた。
みかりんが誤って燃やしてしまった物である。
しかしこれもいい思い出だ。
バックパックの内ポケットからは、ブレスレットやペンダントそして手紙の束が出てきた。
どれも仲間から別れ際に頂いた物である。
オラはもう一度もらった手紙を一枚一枚読み返した。
それは、どれも仲間との絆を思わせる内容ばかりであった。
オラは胸の奥が熱くなった。
この旅は人と人を結び、そこから絆が生まれ、仲間をひとつにした。
そう確信したのであった。
(おわり)