ビクトリアフォールズは、最大幅が1,800m、滝壷は最大落差が108mあり、南米のイグアスの滝、北米のナイアガラの滝と並ぶ、世界三大瀑布のひとつに数えられている。
滝から立ち上る水煙によって周辺にはたくさんの植物が生い茂っている。
ビクトリアフォールズで再会の巻
今日はインドのムンバイで別れた天然キャラのめぐみちゃんとの合流日であった。
ラフティングから帰ると宿でめぐみちゃんが手を振って僕らを待っている予定であった。
しかし、宿の前にはめぐみちゃんの姿はなく、フロントで確認してもまだチェックインはしていないようだった。
ザンビアの隣国、ジンバブエまでは無事に移動できたので、今日の夕方までには『ジョリーボーイズ』に到着予定とメールで確認したのだが……。
さすがに夜までには着くだろうと思っていたが、辺りが暗くなってもめぐみちゃんは姿を見せない。
夜は、女性1人でこの街をふらつくのは危険なので、ようちゃんがバス停まで何度か見にいってくれたのだが、着いた気配はない。
結局その日は、めぐみちゃんとは合流できなかった。
翌日僕らはビクトリアの滝を見に行った。
ザンベジ川はザンビアとジンバブエの国境沿いを流れているので、もしかしたらめぐみちゃんと出会えるかもしれない。
ザンビア側とジンバブエ側の両方から滝を眺めてみたが、やはり近くで見る滝はものすごい迫力であった。
流れ落ちる水量とゴゴーという低い音にオラは興奮した。
水しぶきが滝の上まで上がってくるので、ここは天気が良くても必ず傘かカッパが必要である。
太陽を瀬に滝に向かって立っていた僕らの目の前には大きな虹が映し出されていた。
その虹の線は滝つぼの底まで続いていた。オラはこれまで虹は半円だと思っていたが実は丸いんだと初めて知ったのだった……。
ジンバブエの国境付近でも、残念ながらめぐみちゃんとは出会えなかった。
もしかしたら、すでに宿には到着しているかと思ったので、僕らは早めに宿に戻った。
『ジョリーボーイズ』の敷地内に入ると、両手をひろげて喜んでいるめぐみちゃんを発見!
やったぁ、無事合流成功。
日本にいる時は、アフリカでの合流なんて不可能だと思っていた。
旅になれているめぐみちゃんだからこそ成しとげられたのだと思った。
そんなめぐみちゃんだからといって、簡単な移動では無かったという。
聞く話によると、めぐみちゃんはジンバブエからザンビア行きの国境越えのバスを国境手前で降ろされたという。
ビクトリアフォールズにあるジンバブエ側のイミグレでは、ビザの取得に米ドルを用意しておかないといけなかった。
しかし彼女には、米ドルの持ち合わせがなかったためビザを取得できず、ひとり国境手前で取り残されたらしい。
銀行を探し、お金を作ろうとジンバブエ側の街をうろうろするが、銀行の営業時間に間に合わず、米ドルに交換できなかった。仕方がないのでジンバブエ側で宿を探す事にしたらしい。
しかし、どこの宿も一杯で宿には泊まらせてもらえなかった。
そのうちに夜も更けてきて、危険な街をあまりうろちょろできず、宿のフロントに頼んで、敷地内で野宿させてもらったようだ。
そんな大冒険をめぐみちゃんはしてきたのだ。
「アフリカを女ひとりで野宿するなんて、ある意味凄いやんめぐみちゃん!! 」
そんな彼女のワイルドさに魅了させられたみんなは、めぐみちゃんをちやほやしていた。
めぐみちゃんは、自分の頭に手を置いて照れ笑いのしぐさを見せた。
その日の夜、宿のプールサイドのBarで、現地の若者の男と仲良く酒を飲んでいるようちゃんの姿が見えた。
暇を持て余していたオラも仲間に入れてもらうことに……。
ようちゃんの隣の男はひょろっと背が高く気さくで明るい若者だった。
そしてオラもビールを頼み3人で乾杯した。
若者の男はこのジョリーボーイズのBarによく飲みに来るらしい。
どうやら今からここで合コンが始まるらしく、後から仲間達がやって来るのだそうだ。
ちょうど男の数が足らないので、僕らにも参加して欲しいとその若者が言った。
英語もろくに話せないオラが合コンに参加するなんてとんでもないと思ったが、ようちゃんはノリノリだし、アフリカ人と合コンなんてなかなかできないと思ったので、急遽参加することになった。
しばらくすると20台前半の若いアフリカ人女性が二人、僕らのテーブルの前に腰を降ろした。
彼女達は日本だったら、おそらくギャルと言われる部類の派手な格好をしていた。
僕ら3人は、彼女達と挨拶を交わしビールで乾杯をした。
オラとようちゃんが、ハーフサイズのビール瓶を片手に、グビグビと飲んでいる姿を見たアフリカ人の彼女達は、驚いた表情で僕らに尋ねてきた。
「えー!! 日本人ってビールをコップ注いで飲んだりしないの!?」
オラは逆にアフリカ人に突っ込まれたことに驚いた。
君らこそ豪快にビールを飲みそうな人種のイメージがあるんだけど!?……。
しかし彼女達はレディーをよそおっているのか、ビールをちゃんとグラスに移して飲んでいた。
しばらくすると更に数人の男女が僕らのテーブルを囲み座り始めた。
そして改めて乾杯をし、アフリカ人との合コンが本格的に始まったのであった。
後から来た女性メンバーの一人が場の空気を盛り上げるためか、すくりと立ち上がり大きな声で何かトークをし始めた。
英語と現地語が混じったような言葉は、オラには何を話しているのかさっぱり分からなかった。
そんな彼女は、映画『天使にラブソングを』に主演していた“ウーピー・ゴールドバーグ”に見た目も仕草もそっくりな女性であった。
その彼女がこの会に登場してからというもの場の雰囲気が一変し、彼女のマシンガントークでまわりのみんなは、大爆笑の渦に巻き込まれていた。
オラも必死でそのトークについていこうと努力するが、早口で話す彼女のトークは全くもってオラには聞き取れなかった。
ふとようちゃんを見るとみんなと一緒になって手を叩いて大笑いしていた。
オラも場の雰囲気に溶け込んでいる風を装うために笑顔を絶やさないように努力してみた。
でもやっぱり会話に入れていないという疎外感からか、次第に無表情になっていくのが分かった。
ようちゃんの隣の若者の彼が、場の雰囲気に付いていけないオラを見かねて、ようちゃんに「この面白トークを彼(いざぽん)にも伝えてあげろよ?」としきりに言ってくれているのが分かった。
オラもようちゃんに「ねぇ、何々!?」って小声で訊いてみるが、しかしようちゃんは、お笑いの彼女のトークに笑っているだけで、オラにはトークの内容を教えてくれない……。
そりゃ、日本で英語の勉強をして来なかったオラが悪いけど、面倒くさくても少しくらいは通訳してくれてもいいじゃないか!? と少しふて腐れた気分にまでなってきていた。
オラがすねた表情で「今何て言っているの!?」と強い口調でようちゃんに尋ねた。
するとようちゃんは、「実はオレも彼女が何を言ってみんなを笑かしているのか、内容が全然わからないんだぁ……。」
えっ、そうなの?……。
てっきりようちゃんは、彼女の言っている内容を分かっているのだと思っていた。
そんなようちゃんが引き続き笑いの波に混じって大爆笑している姿を見て、こやつ、相当な役者やのう……。
とオラは感心したのであった。
傘かカッパを用意する方がいい。
防水カメラ以外は壊れるおそれがあるので注意。
ちなみにオラのビデオカメラは故障してしまった(泣)。
バンジージャンプはザンビアとジンバブエの国境の橋の上で行われる。
高さは何と139m、値段は90米ドル。
みんなが見守る中、オラはバンジーに挑戦!!
90ドル分楽しんじゃえ~
ワン・ツー・スリー バンジー
ひぇー、10ドル・20ドル・30ドル・・・・・・・・・・・
スゲーあっという間に水面に近づいて行く、まるでジェット噴射が足に付いているようだ!!
ガッツン!
ゴムが伸びきり凄い衝撃!
びよ~ん、キャーどこまで上がって行くの~
この浮遊感、気持悪い、ひぇ~、また落ちて行くよ~!
ガツン、びよ~ん びよ~ん びよ~ん
もう、ええちゅうねん!
早く、あげて~!!!
「こんにちは!」
「ジャンボ!」
当然運転手さんも日本人ではない。
アフリカでは日本の中古トラックがよく売れるらしい。
僕らはこの旅でよく、バイヤーの手助けをしてくれないかと誘われる事があった。