10億人を超える国民は、多様な人種、民族、言語、宗教によって構成されている。
インドはヒンドゥー教徒が最も多く、ヒンドゥー教は身分制度であるカースト制度を極めて重視している。
カーストは古い起源を持つ制度である。
現在は1950年に制定された憲法で全面禁止が明記されているものの、カースト制度は5千年以上もの歴史を持ち、実際には人種差別的にインド社会に深く根付いている。
そのため貧富の差が大きい。
1インドルピー=約1.68円(2016年2月現在)
1インドルピー=約2.8円 (2006年11月8日~18日)
インド料理といえばカレー。
しかしインドにはカレーなる料理は存在しない。
インド人は、身の回りにあるスパイスを毎日の料理に使っているに過ぎず、彼ら自身は「カレー」なるものを作っているつもりは全くない。
通常はインド料理と呼んでいる。
インド人は右手の素手で料理をつかんで食べる。実際やってみると指で料理の熱さを感じながら口に運ぶのですんなり舌が受け付けてくれる。
インドの安食堂は衛生管理が非常に悪い所があり、腐りかけた魚などを平気で使うレストランもあるが、香辛料と混ぜて調理するので気づかず食べてしまうのである。
したがって衛生管理の行き届いていなさそうなレストランにはできるだけ入らない方がいいだろう。
オラは、クモの巣がかかったストローを危うく使うところであった(汗)。
インドでは6ヶ月有効のマルチビザが必要である。
マルチとは有効期限内なら何回でも入国できるビザである。
インドには日本出発から3ヶ月以内に入る国だったので、僕らは、日本で先にビザを取っていた。
世界一周出発前、日本の大阪インド大使館に関西のメンバー達でビザ申告に出かけた時の話。
午前の申告受付時間が9時から12時だったので、大使館前に僕らが集合したのは11時だった。
さぁ、時間も無いので早速申告記入である。
しかし、英語の苦手なオラは何を書いていいのかよく解らない。
さすがあけちゃんは、ワーホリ経験者なので一番に記入が済んだ。
オラはその用紙を見ながら書くことにした。
オラはあけちゃんの文章をそのまま写したので、職業の覧をnurse(看護婦)と書いてしまい、みんなに大笑いされた(汗)。
あけちゃんが先に申告書とパスポートを窓口に提出し、続いて僕らも提出。
しかし、窓口のインド人女性は超うざそうに、「時間が無いからみんなまとめて渡して!!」と言ってきた。
取りに来る日に一度に渡すからと言う。
「ちょっと待って、みんなの都合もあるから別々に取りに来たい!!」とオラは言ったが、
インド人女性に「時間が無い!!」と言われ、ガシャンと窓口を閉められてしまった。
なんじゃ、インド人は皆こんな感じなのか?……
ドキドキの初インド上陸の巻
インド旅行経験者は言う。
インドの旅行は必ずといっていいほど体調を崩す。
街はどこも汚くて、インド人はウソ付きで、平気で人をだまそうとしてくる。
それなのに、何故インドに憧れる旅人が多いのだろうか?
僕ら全員インドは初めてだ。
どんな旅になるのだろう……。
僕らはタイのバンコクで滞在中、インドから移動してきた旅行者と知り合った。
その人からの話によると、いきなり飛行機でデリーに到着するのは危険だと言われた。
まず空港でたくさんの客引きに囲まれ、引っ張り凧に合うらしい。
そしてタクシーで怪しげな旅行業者に連れて行かれ、無理やりツアーを申し込まされたり、頼みもしないのにシルク屋に連れて行かれ、超高額な買い物をさせられたりと、まともに行きたい場所に連れて行ってくれないらしい。
その他、タクシー代を思いっきり不当な金額で吹っかけてくるなどなど、何せトラブルが多いそうだ。
バンコクからコルカタに入った方がまだ安全だと教えてくれたので、ルートを変えようかと一瞬考えた。
しかし、僕らは世界でも最も治安の悪い南アフリカにも行くのだ。
こんなことで行きたい場所を避けてはダメだと思い、気持ちを奮い立たせ、予定通りバンコクからデリーに飛ぶことを決めた。
14時20分バンコク空港出発。
バンコクからは時差があるので、オラは飛行機の中で腕時計の針を1時間半遅くした。
17時半デリー空港到着。
僕らの防犯対策はまず、デリーの空港に着いたら宿に電話をし、宿泊の予約をしたついでに、送迎も頼むという、いつもどおりの単純な作業だった。
僕らは、ニューデリー駅前のメイン・バザール(パハール・ガンジ)内にある『パヤールホテル』に目星をつけた。ここは日本人客が多いと評判だったからだ。
あけちゃんが、電話で料金を聞くと宿泊代は1人150ルピー(約420円)で送迎代金は1人1000ルピー(約2800円)だと言ってきた。
宿の値段に対して、どう考えても送迎代が高い。
あけちゃんが英語で文句を言うと、電話に出た人はどうやら英語がうまく話せないらしく、近くにいた日本人の宿泊客に代わった。
料金を確認すると送迎代も宿泊代と同じく、1人150ルピーだと教えてくれた。
オラは、なーんだ、と思いホッとした。
空港出口のフェンスのまわりには、インド人の客引きがずらりと並び、獲物を狙うハイエナのように白い目をギラギラさせて僕らが出てくるのをいまかいまかと待ち構えていた。
しかし、僕らが横を通ってもフェンスごしの彼らは一向に動かず、僕らが空港出口の境目となるフェンスを通りぬけるのを待っているかのようにも思えた。
僕らは身構えながら客引き達の視線を横目に空港の外に向かって歩いていった。
しかし空港の敷地内から外に出たというのに、客引き達は全くもって動こうとしなかった。
てっきり、フェンスを抜け出たその瞬間、ワラワラワラと客引きに囲まれ仲間がバラバラになるのじゃないかと心配だったが、全くもってそういうことは無く、逆に拍子抜けした。
ここデリー周辺では、数ヶ月前に日本人の旅行者が行方不明になったという事件があった。
空港の中にも所々に張り紙が張ってあったので、事件のあった周辺の客引き達への規制が厳しくなったのじゃないかと僕らは思った。
送迎には、パプーという、何かの音の様な面白い名前の宿の従業員が迎えに来てくれた。
空港のまわりはすっかり暗くなっていた。
送迎車2台で宿に向かうこと約30分、デリーの中心街に入っていった。
活気のあふれる商店街には、雑貨屋や香辛料のお店が並んでいた。
その狭い道でサイクルリクシャー(三輪自転車)や通行人をかすめながら、車はどんどん走って行く。
「はっ! 今、なんかでかいのおったでぇ!」突然マッキーがお化けでも見たかの様な形相に変わった。
「うわっ、牛や! 牛が街中を歩いてる!」よく見ると野良牛がそこら中、歩き回っていたのであった。
牛は本来、現地の人にとって神様だという。
それゆえに、牛が道の真ん中を歩いていてもクラクションを鳴らしたりはしない……。はずなのだが、パプーは思いっきり牛にクラクションを鳴らしていた。
インド人の子どもも、牛の背中を棒で叩いて歩いている。
その光景を見たオラは、インドは面白い国だなぁと期待に胸が高まった。
パプーはこの商店街の一角に車を停めた。
どうやら『パヤールホテル』に着いたようだ。
男女別で部屋を割り振り、オラは、明日に備えて早めに寝ることにした。
翌朝、食堂を探すため、僕らは街をフラフラ歩いた。
ここはデリーのメインバザールだというのに土ボコリの酷い、牛のうんちとゴミだらけの街であった。
たくさんの牛が街中うろうろしているので、たまにシッポではたかれたりもする。
デリーの人々は、開店前の準備を忙しそうにしていた。
丸い大きな鍋を一生懸命磨いている者、手押し車にたくさんの野菜を積んで移動している者。
中には道路の片隅でのんびり新聞を読んでいるおじさんもいた。
たまに「トモダチートモダチー」と友達でもないのに誰かが話しかけてくる。
どうせ商売目当てだろ? フレンドリーだが、ちょっとうっとおしい。
そんな中、ふと後ろを見ると、元気のなさそうなあけちゃんの姿が見えた。
菊ちゃんと離れてからかなり寂しげなあけちゃん。
インドをあんなに楽しみにしていたはずなのに、今は、オッキー・ぷる君が先頭に立ってあけちゃんは一番後ろをトボトボついてくる。
あけちゃんの元気が無いと何か、グループ全体の活気が無くなるなぁ。
デリー空港に迎えに来てくれた宿の従業員のパプーは、2台の車を用意してくれたが2台ともなんとまぁボロボロ。
みんなのバックパックをトランクに詰めて閉めたとたん「バキッ」とトランクが壊れた!
もう一度トランクをなおして閉めたとたん今度は何と、車の横ドアが『パカッ』と開いた。
カーブを曲がる時もたまにドアが開くと言う。
『おぃっ、こんな車に乗っても大丈夫なのか?……。』
オートリクシャーは、狭い街の中でも数センチの微妙な間隔で、他の車の間をどんどんすり抜けていく。
僕らは小さなオートリクシャーに毎回4人ずつ乗り込み移動した。
屋根に積まれた荷物は自分達でもチェックしないと、時々振り落とされることも……。
しかし、驚いたことに牽引ロープが無い。何と、リクシャーの兄ちゃんが動かないオートリクシャーを蹴りながら4車線道路を走っているではないか!
狭い繁華街の道路に入ると自動車・オートリクシャー・サイクルリクシャー・そして何と、野良牛が通行している。
日本の道路では考えられない光景だ!
ドンドンドンッドンドンドンッ 隣から壁を叩く音が響いている。
「何の音?……。」ようちゃんが、眠気まなこで訊いてくる。
「分からへん、早朝から迷惑やなぁ?……。」オラは朝から建物工事でもしているのかと思っていた。
しかし、その音の正体は隣の部屋で寝ていた女性メンバー3人の、必死で救出を求めていたサインであった。
インドのホテルは外側から南京錠で鍵が掛けられるように金具が付いる。
それが前日の夜に扉を締めるとき何かの拍子で鍵がかかってしまったらしい。インドのドアは要注意だ!!