88.みんなで世界一周計画 イタリア編 旅のスタイルががらりと変わるの巻き

旅のスタイルががらりと変わるの巻き

ローマ到着翌日の朝9時。オラが目覚めた頃には、すでにみんなは観光に出かけていた。

そういや昨日の夜中にようちゃんが、朝の6時半から出発するんだと言って張り切っていたのを思い出した。

自分が見てまわりたい観光名所をいかに効率よくまわれるか、地図にルートを描きながら声に出して再確認していたのだった。他の仲間もそれぞれが行きたい観光場所をまわるため、事前に計画を立てていた。

見どころ満載のヨーロッパの旅は、みんなで観光地めぐりをするより、それぞれが見たい場所を絞って観光する方が効率がよいとみんなの意見は一致したからである。

ローマ滞在3日目……。

ローマテルミニ駅11時14分発の国際列車に乗り込み、次の目的地のフィレンツェ中央駅には14時50分に到着した。

駅前にはサンタ・マリア・ノベッラという有名な教会が建ち、そのまわりには、フィレンツェ独特のチーズ色の壁に赤い屋根の建物が並んでいた。

ここは車通りも多くまぁまぁ都会であった。

僕らはガイドブックで見つけた、駅近くのユースホステルに泊まろうと思っていた。

改札を出て駅前のロータリーであたりを見渡していると、日本人の二人組みの女の子がガイドブックを広げて何かを探しているのが目に入った。オラが尋ねてみると、偶然同じ宿を探しているみたいだったので、一緒に探すことになった。

2人の名前はけいちゃんとのりちゃん。

彼女らは卒業旅行でヨーロッパを一ヶ月間周遊しているそうだ。

家が大阪だったのでオラやマッキーは、その子達と地元の話題で少し盛り上がった。

しかしマッキーは、オシャレな服装の二人に嫉妬した。

「いいなぁ、やっぱイタリアは二人のようなロングスカートとスーツケース姿で旅がしたかったわぁ……。

私らなんてチノパンにバックパックやで!! こんなのどう見ても山登りの格好やわ!!」

マッキーの言葉に、反応しためぐみちゃんは、少し自慢げに微笑んでいた。

いやいや、あなたのスカートにバックパック姿は、決してオシャレには見えませんから……

思わずオラは突っ込みたくなった!!

でもやはり先進国と発展途上国とでは、確かに旅のスタイルはがらりと変わると思った。

どこに行っても道路が整備されているヨーロッパなどの先進国では、ゴロゴロと転がしながら歩けるスーツケースが楽ちんだ。

それに比べてほとんど道が舗装されていない、牛の糞だらけのインドのような発展途上国では、スーツケースは不向きである。それに着る服も砂ぼこりで汚れてしまうので、洗ってもすぐに乾くチノパンの方が便利だし身動きもとりやすいので使い勝手がいいのだ……。

卒業旅行のけいちゃんとのりちゃんを含めた僕ら一行は、地図を見ながら駅近くのユースホステルを目指して歩いた。

ユースホステルは駅から100メートルも離れていなかった。

しかし宿のフロントで今日は満室だと言われ追い返された。

きっと卒業旅行シーズンと被っているため学生が利用しそうな安いユースホステルはすぐに埋まってしまうのだろう。

仕方がないので、別の宿を探すことにした。

近くの公衆電話からガイドブックに載っている駅近辺の安宿に片っ端から電話をするが、なかなか空いている宿が見つからない。

少し遠いがフィレンツェ中央駅からバスで20分くらい走った場所にあるオスティロ・ヴィラ・カメラータ(一人1泊18ユーロ=約2970円)の宿が空いていたので、けいちゃんとのりちゃんも含めた合計8名でそこの宿を予約することにした。

早速僕らはフィレンツェ中央駅前からのバスに乗り込み移動することにした。

バスに乗り込んだ瞬間、のりちゃんがバスの運転手に目的地のバス停に着いたら教えてもらえるように頼んでくれていた。たぶんイタリア語の発音でバス停名をアナウンスされても気づかないと判断したからだろう。

さすがのりちゃん達はイタリア旅行に慣れているなぁ……。

僕らは目的地でバスを降り、地図の示す方向へ歩き出した。フィレンツェの郊外に出るとさすがに、ひっそりとしていた。

宿名が書かれた古い大きな門を発見するが、道が森の奥に続いていたため、本当に宿にたどり着けるか不安だった。

100メートルほど森の中の道を歩いていくと、大きなお屋敷が見えてきた。

どうやらここが僕らの泊まるオスティロ・ヴィラ・カメラータのようだ。

建物の中に入ると、「ここは美術館か!?」と思うような白大理石の彫刻で創られた豪華な内装のロビーだった。

「なんとまぁエレガントなお宿なのかしら……」みかりんは、宿の豪華さに喜んでいたが、オラは逆にホラー映画に出てきそうな宿を想像したので少し怖かった。

魔女のようなおばあさんが出てくるのかと思ったが、受付には普通に優しそうなイタリア人のおじさんが出てきたので安心した。

今回はこの宿を拠点に、3日間の滞在を決め、昼間はそれぞれ行きたい場所を観光し、夜はみんなでトランプゲームなどしながら過ごすことにした。

フィレンツェ滞在2日目の夕方……。

昼間の観光から帰ってきたオラは、相部屋だった日本人大学生の男の子とベッド越しに話す機会があった。

彼のあだ名は森やん、大学の仲間からそう呼ばれているらしい……。

森やんは、ヨーロッパを3週間程一人で旅するみたいだ。

森やんは、旅初めのローマで偶然大学のクラスメイトとその友達に出会ったそうだ。

ところが一緒に来ていた友達は旅行でまわりたいところがクラスメイトとはかみ合わないらしく、全く面識の無い森やんと同行したいと言ってきたらしい。

森やんは、断れない性格もあるし、まぁいいかなと思い、クラスメイトの友達と一緒に旅するのをオッケーしたそうだ。

しかしフィレンツェまで一緒に旅してきたけど、知らない土地で初対面の人と旅行するのはなかなかしんどかったようで、結局この宿に来る前に森やんから決別を言い渡したそうだ。

森やんは、気ままに日常からかけ離れた生活をしてみたかったらしく、せっかくの気ままな一人旅なのに人に気を使いながら旅することに面倒くささを感じてしまったようだ。

オラは5ヶ月間もずっと仲間と旅をしてきたため、一人で旅する森やんの旅中の心情を聞けたのはすごく貴重だと思った。

オラの仲間達も初めの頃は気を使いすぎてしんどかったに違いない。

みんな元々は、他人同士の集まりだし、いざとなればひとりでも旅をしようと思えばできるメンバーばかりだったのだ。

なので、気が合わなければスタート早々みんながバラバラになることだってあったと思う。

グループ旅というのは、みんなで旅できて楽しいけど、一人旅に比べたら誰かに合わさないといけないということがストレスに感じてしまう。

それでもみんなは、仲間に合わせながらもそれぞれ自分なりに楽しむ方法を見つけるようになり、今はストレスを感じない旅にしていけている。

そんな僕らのグループも今じゃずいぶん成長したなぁと思った。

ローマの休日

ローマはオシャレな建造物がいっぱいだ。古代ローマ時代の遺跡がたくさん残っているので、街自体が美術館や博物館のようである。
僕らのローマ観光は、自由行動とし、それぞれが見たい所をまわることにした。

オラはまず超人気スポットのトレビの泉へ、さすがメジャーなだけあって、たくさんの人で溢れかえっていた。
トレビの泉では後ろ向きにコインを投げ入れると、もう一度この場所に戻って来られるのだという。
観光客はみな泉の前の人だかりの列に並び、コインを投げるタイミングを見計らっていた。オラも同じように列に並び、せっかくなのでこの観光行事を真似てみたくなった。

しかしオラの財布の中身は2ユーロコインのみで、全くこまかいのがなかった。
どうしよう、2ユーロあればジェラートが食べられるのに……。

もう一度この場所に戻って来られるのだといっても、どうせ自分でお金を出して来なくちゃだめなんだろ!? と夢のない現実的な欲求が先ばしり、オラはそのコインを握り締めジェラート屋さんへ走った。

宿に帰って来た後、仲間達にこの事を話すと「映画、ローマの休日で主人公がジェラートを食べるシーンが有名だから、そっちの方がローマの街に浸れたんじゃないの?」といってくれたが、オラはアイスに釣られた自分を悔しく思った。
shutterstock_304552061神話上の彫刻が並ぶトレビの泉。中央に海王ネプチューン、両脇に海馬とそれを操るトリトンの彫刻が並ぶ
img_0224泉に向かって右側角に美味しそうなジェラート屋さんを発見。1カップ2ユーロ

めぐみちゃんの日記
ルネッサンスの街フィレンツェ

おかしいなあ、バラをくわえたイタリア人にまだ会えない。

一番楽しみにしていたフィレンツェ。
ああ、フィレンツェ。
ここは、ルネサンスの咲いた場所、自由に芸術を追い求めた場所、神様の呪縛から放たれ人間賛歌を唱えた場所だ。
私は、映画でこの街に一目惚れしていた。ドゥオーモと教会の鐘、茶色い世界遺産の町並み。夢の中でも出てきた行ってみたい街。
さっそく塔に上ってみた。

「わあー!!」

景色に鳥肌が立ったのは、はじめてだった。
やばい、この景色はやばい。

人間はすごい!! そして悔しいが、ヨーロッパ人の美のセンスにはかなわないと思った。
自然ではなく、あくなき芸術への要求から作られた歴史の街という感想をもった。

人間は、すごいのである。
世界一美しい街……

間違いない!!(注 私の世界一は、いっぱいある)
旅して気づいた。

共に歩く人によって、風景は変わるんだよ。
私、そのことをすごく感じたの。

地図なんて、わからなくていい。

ただ、犬のように感じながら歩くんだ。
一緒に歩く人の世界観を愛せたら、風景に色がつく。
その人の色がつく。その人の色を愛しいと思えたら、一生死ぬまでいい旅ができると思う。

この話を、いつか夫になる人に話せたらな。
二人で、世界に。
shutterstock_240325840ドゥオーモとフィレンツェの街の景色。夕暮れ時、街の鐘の音がいっせいに鳴り響く時間は、とても感動的であった

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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ABOUTこの記事をかいた人

2016年11月~2017年4月までの約半年間、仲間を募って中南米一周してきました。 夏のシーズンは、アウトドアクラブNuts(ラフティングカンパニー)の代表を務めています。オフシーズンはアウトドア系社会人サークルのイベント(ボードツアーなど)行っています。また、ラフティングトレーニングやアウトドアの遊びの研究をするため、海外に出かけたりしています。 旅やアウトドアに興味がある方はぜひお友達になりましょう♪